その三

その頃、横島宅では木乃香達がテスト勉強を始めていた

横島宅に集まるメンバーはあまり成績のよくないメンバーも多いため、せめて赤点は免れようとテスト勉強を始めていたのである


「こんなこと習ったかしら?」

「わかんないよ~」

「勉強は嫌いなのですが、あまり成績が悪いのも横島さんの手前問題があるです」

テスト勉強を始めたはいいが、明日菜・まき絵・夕映のバカレンジャー組はテスト範囲がほとんど解らないため苦戦をしている

教えてるのは木乃香とのどかとさよの三人で、刹那も実はあまり成績がよくないため苦戦していた

本来明日菜達三人は勉強が嫌いだしテストの点数をあまり気にしないのだが、このメンバーが横島宅に毎日のように集まってるのはクラスの全員が知っているため、あまり成績が悪いと横島の立場がないだろうと考え自主的にテスト勉強を始めていたのだ

教えてるのどかと木乃香は元々成績がよく、さよは何十年も同じクラスで勉強していたため基本的に中学3年の勉強だけは暗記するほど覚えている

まあさよの場合は常識や中学3年から離れると全く勉強が理解出来ないという問題もあるのだが……



「横島さん頭が良くなる魔法とか使えないのかな~?」

勉強をしようとしてはいたものの急に成果など出るはずもなく、まき絵は横島が何か頭の良くなる魔法でも使えないかと期待する


「ネギは使えるって言ってたわよ。 三日頭が良くなる代わりに一ヶ月ほど馬鹿になるって言ってたけど……」

「ネギ君の魔法じゃあちょっとね~」

頭の良くなる魔法という言葉に明日菜は以前ネギが言っていた危険な魔法を思い出し語るが、まき絵も夕映もネギの魔法はちょっと嫌だと言いたげである

失敗とか暴走ばかりのネギの魔法は、すっかり信頼度が下がっていた


「せっちゃんは頭が良くなる魔法使えへんの?」

「私は戦闘系以外はほとんど使えません。 横島さんならば多分使えるんでしょうが……」

明日菜達の会話に乗る形で木乃香は魔法に詳しい刹那に尋ねるが、元々刹那は剣術を補う術しか使えないため詳しくは知らない


「魔法使いの人達は頭の良くなる魔法は使わないんですか?」

「私が知る限りでは使いませんよ。 そもそもあまり強力な魔法は身体によくありません。 日頃の魔法の修行からも分かるように、基本的には地道な修練が欠かせないと思います」

ずっと無言で話を聞いていたのどかは魔法使い達が日頃から頭の良くなる魔法を使っているのか気になったようだが、刹那はそんな都合のいい魔法はないと告げる

強力な魔法はそれだけ身体に与える影響も大きく、決して万能ではないのだから


「結局勉強するしかないのですね」

刹那の言葉に少し残念そうな夕映は再び勉強を始め、明日菜とまき絵もそれに続く

仮に横島が頭がよくなる魔法を使えるとしても、教師という立場上自分達だけに使う可能性はないと夕映は理解している

問題が命に関わるなど重大ならば違うのかもしれないが、学校のテストくらいでは横島が動くほどの問題ではないのだから


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