その三

数日後、横島は放課後の職員室でネギとネカネの担当である英語の教科のテスト作りの手伝いをしていた

まだ子供のネギと麻帆良に赴任したばかりのネカネは不慣れだろうとの配慮があり、横島が手伝う事になっているのだ


「去年のテスト問題と他の先生が出す問題もいくつか聞いて来たんで、これを参考にして考えて下さい」

横島が手伝ったのは去年の同じ時期の中間テストの問題と他の英語教員に聞いたテスト範囲や問題を、参考資料として二人に渡す事だった

ネギに関してはしずな先生が手伝う予定だったらしいが、高畑が急遽出張になり忙しくなったらしい


(テストでは赤点との戦いだった俺が、まさかテストを作る側に回るとは思わなかったな。 人生分からんもんだ)

ネギとネカネがテスト問題を考えるのを横島は見ているだけだったが、昔を思い出すと少し複雑な気持ちになる

あれだけ馬鹿なのにも関わらずこんな立場になるとは、思いもしなかったようだ

ちなみに前年度のテスト問題や他の英語教員のテスト問題を使うと言うのは、令子から受け継いだ知恵だったりする

横島本人には元々そんな知恵は存在しないが、令子はその辺りの要領も良かったようだ

横島の日常生活においては、やはり令子やおキヌの知識や知恵がかなり助けになっていたのである


「ありがとうございます。 助かりました」

「難易度をだいたい同じくらいにしたら、後は好きに作って構わないそうですよ。 前任者の傾向もある程度聞いて来たんで、参考にすると大丈夫でしょう」

ネカネが受け持った英語のクラスは、ネギや他の英語教員から分けられたクラスだった

特にネギの受け持つクラスを減らして、負担を軽くするように配慮もされている

ネギの指導に何か問題があった訳ではないが、一部の生徒から年齢に対して不満も出てたのも事実なのだ

教え方は悪くないし授業自体には問題ないのだが、子供の授業を受けるのに抵抗がある生徒も少なくないらしい



ちなみに横島の教師としての評価は可もなく不可もなくと言った感じだった

教師と言っても担当も無くネギの手助けと雑用なので、さほど目立つ仕事はない

ただ最近は高畑の留守が多いので高畑の授業を代わりにする事が多いが、本当に普通に進めるだけである

基本的に他の教師に合わせてる形なので、評判も評価も目立たないままで普通なのだ

ひょっとすると令子やおキヌの知識や経験をフル活用すれば、もう少し上手く教える事が出来るのかもしれないが、目立つのを避けるためにも無難な対応に終始していた


「困ったな。 どうしよう」

一方ネギは問題の出す場所に頭を悩ませている

参考資料を見てはいるが、細かな問題を出す場所に迷い悩んでるようだった


(悩むのは当然だな。 自分が天才な分だけ、出来ない奴の気持ちなんて理解出来ないしな。 完全な経験不足だよ)

天才的な頭脳の持ち主であるネギの当然の弱点に、横島は仕方ないと考えてため息をはく

経験不足は今更だし、そもそもネギの精神年齢で教師をさせるのが間違いなのだ

あまり口出しするのも良くないために適度に悩んだ頃にアドバイスをしているが、正直かわいそうだとしか感じなくなって来た今日この頃である
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