その三

「戦う力が欲しいなら明確な相手を見つけることだな。 それが無いなら基礎で十分だよ」

納得がいかないアーニャに笑って告げる横島だが、やはり簡単には理解出来ないようである

まあ年を考えると理解出来ないで当然だし、それでいいのだろう

アーニャ自体の戦闘能力はお世辞にも高いと言えない訳だし、本来は大人になるまでに何年も見習いをしながら理解するのだろうと横島は考えていた


そのまま見学するアーニャとネカネの前でネギもまた基礎に参加するが、この修行は見てる方は暇である

一方修行する中でもまき絵は特にこの修行が苦手だった

まき絵の場合は元々それほど強い意思で修行に参加した訳ではないので、集中力が違うのだろう

修学旅行でフェイトやスクナと対しなかっただけに、危機感や真剣さが足りないこともある

ただまき絵は魔法よりも、格闘などの直接戦闘のセンスは抜群にいい

新体操の練習をしていた影響かもしれないが、器用さは一番であり武器などを多彩に使いこなす令子のようなタイプになる可能性を秘めている

現在居るメンバーでは明日菜・まき絵・のどかは魔法使いタイプではない

まあそれでも横島とエヴァの修行を続ければ、並の魔法使いよりは強くは強くなるだろうが……

横島も常識外れの存在だが、エヴァもまた大概常識外れな強さだった


「ねえ、貴方は本当に強いの? 私と勝負しない?」

30分ほどは精神統一する木乃香達を見ていたアーニャだが、暇を持て余したのか横島に興味を抱いていた

流石にアーニャも勝てるとは思ってないが、ある程度勝負になる自信はあるようだ


「んー、別にいいけど……」

勝負したいと言うアーニャに横島は少し考えるが、特に断る理由が浮かばない

本音ではこれ以上教える人が増えて欲しくないから見てるだけにして欲しいのだが、子供相手に嫌だとは言えなかった

結局木乃香達が休憩するタイミングで横島とアーニャは勝負することになったが、やる気満々のアーニャと特に変わらない横島は対称的である


「さあ、行くわよ! フォルティス・ラ・ティウス・リリスリリオス…………」

特に構える訳でもない横島に、アーニャは先手必勝と言わんばかりに呪文を唱え始めた

拳に炎を纏わせると横島に向かって走り出す

やる気があるように見えない横島にナメられてると感じたアーニャは、驚かせてやろうと接近戦で挑んでいく


「なかなかやるなー 子供だとは思えん」

ちょっと驚いたように褒める横島を拳と蹴りで攻めるアーニャだが、炎の魔力で強化してる意外は素人に近く動きは雑である

しかし横島としては、アーニャの年でそこまで出来るのは凄いと素直に感心していた

ネギと違い普通の子供に近いアーニャへの基本評価は甘いようだ


「子供扱いするな!、なんで当たらないのよ!!」

当然横島には全く当たらないのだが、アーニャは諦めずに攻撃を続けていく



「アーニャちゃんも強いわ~ ウチも負けてられへん」

「魔法使いの子供はみんなあれほど戦えるのでしょうか?」

一方二人の勝負を見ていた木乃香達だったが、単純にアーニャの強さに驚きつつも魔法使いはみんな戦いを覚えるのかとの疑問も感じていた

特に夕映はネギとアーニャを思い浮かべ、何故あれほど戦いの魔法を覚えるのかその理由が気になってしまう


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