その三

それから二日後、横島はアジト内の妙神山で木乃香・夕映・刹那・まき絵・明日菜・のどかの六人の修行を見ていた

基本的に横島が常時修行を見ているのはこの六人が中心である

楓と古菲も参加する事はあるが、二人は個人で修行をする事も多く居ない事もあるのだ

横島の周りではタマモを抱えたさよが居るが、二人はもちろん修行に参加する事はない


あと小太郎に関してだが自己流の修行が好きなのか、木乃香達の修行を見学する事はあるが参加はしなく修行は一人でしてるようだ

横島としては建物以外のアジト内での行動の自由を認めており、森などに入って修行しているようである

基本的に横島が小太郎に声をかけるのは食事の時くらいであり、あとは特に干渉する事はなかった

学校に関しては木乃香達や千鶴達がいろいろ様子を聞いたりしてフォローしており、今のところ問題は起きてない

ちなみに小太郎の学費や生活費は全て横島持ちであり、小太郎は警備員としての仕事はしてない

一応非常勤の警備員として契約はしているが、千鶴のストップがかかり非常時以外は警備に借り出される事はなかった

子供の小太郎に夜間の巡回や警備をさせるのに千鶴が反対して、横島もそれに同調した為である



「おじゃましてます」

さて話は戻って木乃香達に精神統一の修行をさせていた横島のところに、ネギ・カモ・ネカネ・アーニャの四人がやって来た

ネギが横島とエヴァの元で修行してると知っていたネカネが、見学したいと言っていたのだ


「なんか地味な事してるわね~」

静かに精神統一する木乃香達につまらなそうな表情なのはアーニャである

アーニャの知る魔法の修行とは随分違うようだ


「基礎中の基礎だよ。 自分を知る事が全ての始まりなんだからな」

基礎修行を地味だと切り捨てられた横島は苦笑いを浮かべていた

横島も元々は地味な修行をしたタイプではないし、成果が見えにくい基礎修行が地味だと言い切るアーニャの気持ちはよくわかるのだ

しかしこの基礎修行をするとしないとでは将来的に大きく差がつく事を、小竜姫など知識や経験から理解している


「魔法の一つでも覚えた方がいいんじゃないの?」

「その魔法を使うのは人間なんだよ。 ただ覚えてたって使いこなせないと意味がないだろ」

アーニャにはあまり理解出来ないようだが、それはネカネも同じようで半信半疑なようだ

そもそも魔法に関する価値観も横島と魔法使いでは微妙に違う

ただ決められた魔法を唱えて使うだけで使いこなすとは横島は考えてない

魔法を使うまでのスピードや魔力のコントロールや威力の強弱まで出来て、始めて使いこなすと横島は考えている

その点魔法使い達でそこまで出来るのは一部の実力者のみだろう

当然アーニャにはそんな意味が理解出来るはずはない


「だいたい戦闘能力だけ上げても、一般生活じゃ使い道ないだろ?」

理解出来ないような顔のアーニャやネカネに、横島は微妙に苦笑いをして問い掛ける

ネギもそうだが、無意味に戦闘能力だけを求めても実生活において使い道がない

それならば生活に密着した魔法や人を癒す魔法を覚えた方が、よっぽど役に立つと思うのだ

力を付けるのは必要だが、出来れば使わない方がいいし使わない生き方をするべきだと考えるのだった
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