（まさか、ネギに悪い遊びを教えてるんじゃないでしょうね）

夕映の説明でもどこか怪しいと言うか謎が多い横島に、アーニャはネギに余計な事まで教えてるのかと疑い始めていた

あやかのライバル視するような視線もあったし、何より周りに女が多すぎるのが気に入らない

結局のところネギの事で自分が知らない事が多いのが、気に入らないだけなのだろう


（よほどネギ先生が好きなのですね）

葛藤と言うか悩んでいるアーニャに、夕映は思わず笑ってしまいそうなのを堪えていた

ネギと明日菜やあやかの関係に嫉妬しているのは、端から見れば明らかなのである


（確かにネギ先生は頑張ってますし、美形なのは確かですが……）

夕映にとってネギは頑張ってる子供という印象が強く、男性的な魅力は全く感じてない

と言うかネギは恋愛を全く理解してないし、そもそも人間関係が壊滅的過ぎるのだ

以前のように周りに大人の男性が高畑しか居ない環境ならともかく、横島に惹かれてからはどうしても横島が基準になっている

まあ横島もお世辞にも恋愛が得意とは言えないが、それでも人間としての魅力と言うか深みはまるで違うのだ

好みの問題もあるのだろうが横島とネギを並べると子供にしか見えないのが、夕映の中でのネギに対する価値観の全てなのだろう


「アーニャちゃんはもうパートナーとかいるんですか？　その、仮契約とかして……」

「パク……！？　そんな事まで知ってるの！？　そんなの、まだしてないわよっ……　パートナー選びは慎重にやらなきゃダメだし……」

微妙な沈黙を和らげようとのどかは話し掛けるが、アーニャは顔を真っ赤にしてモジモジしている

仮契約のパートナーが魔法的な意味よりむしろ恋人選びや人生のパートナーとして考えているアーニャに、夕映の表情は微妙に困ったように変わった

ネギがすでに明日菜とのどかと仮契約してると知れば、アーニャは黙ってないだろう

以前カモが仮契約の説明時にいろいろ説明していたのを思い出すと、問題がややこしくなるのは明らかである


「ネギはどうなのかしらね。　まさか、あのアスナとかいう人としてたりしないわよね。　そんなわけ……」

「あの……、アーニャちゃん。　実は……私と明日菜さんはネギ先生と仮契約してるんです」

アーニャはネギの仮契約を気にするが、まさかネギが麻帆良に来て半年もしないうちに仮契約しているとは思いもしない

そんなアーニャにのどかは素直に仮契約している事実を打ち明けてしまう

以前の臆病なのどかならば、すぐに打ち明ける事は出来なかったはずである

しかし横島と知り合い変わりゆく夕映や木乃香に引きずられるようにのどかも成長していた

それゆえにすぐに打ち明ける事が出来たのだろう


「なっ……、ウ……ウソでしょ？」

顔を真っ赤にして再確認するアーニャにのどかは真実であると再び告げる


「あのバカネギーー！！」

頭に血が上ったアーニャは、我を忘れて裸のままで露天風呂を出てネギの元に走っていく

何かを考えていた訳でもなく、感情が爆発しただけなのだろう


「アーニャちゃん！？」

のどかは慌てて後を追おうとするが、流石に裸のままでは行けずに慌てて服を来て追いかけるしかない


「可愛い子だね～　でも追いかけなくていいの？」

「私達には微妙に関係ないです。　行っても問題をややこしくするだけですよ」

残されたまき絵は子供っぽいアーニャを笑って見送っていたが、夕映もまた追いかける事はしなかった

ネギとの仮契約を狙ってもない夕映は関わる事の意味のなさから、見送るしか出来なかった