その三

「おいしー」

慣れない箸をぎこちなく使いながら刺身や天ぷらをパクパクと食べるアーニャの姿に、横島達はホッとした表情を浮かべる

ネギは不自然なまでに大人ぶるだけに、子供らしいアーニャの姿にホッとしたのだろう


(ネギのやつ、毎日こんな美味しい物食べて、綺麗なお姉さんに囲まれて……)

もぐもぐと口を動かしつつネギの現状に嫉妬するアーニャは、会ったらネギをどうしようかと考えを巡らせていく

時々明日菜を見て牽制しつつ作戦を考えていくのだが、当の明日菜からすれば対応に困るだけだった


横島達はそのままネカネとアーニャに麻帆良に来てからのネギの行動を話していくが、ネギの手紙にはなかった危険な事が話されるたびにネカネは頭を抱えてしまう

エヴァに一人で戦いを挑んだ辺りで顔色が真っ青になるし、修学旅行でも争いに巻き込まれたと知ると言葉すら失っていた


「アイツ馬鹿なまんまなのね……」

ネギの近況まである程度説明を終えると、ネカネは言葉が出ずにアーニャは自分の心配が当たったと言わんばかりにため息をはく

頭の良さは天才なのかもしれないが、その分ネギには致命的に欠けてる部分がある事にアーニャも無意識に気付いてるのかもしれない


「ネカネさんを呼んだ理由もそこにあります。 ネギの行動は行き当たりばったりで後先考えてないんですよ。 初対面で厳しい事を言うのも心苦しいのですが、このままじゃあいつの将来はダメになります」

表面上は冷静に話している横島だが、内心では何故自分がこんな嫌な役目をしなければいけないのかと思うとため息が出そうになる

しかしネカネには全てを話して、家族として見守り支えて貰わねばならない

学力や魔法ではなく、ネギの精神的な成長と人間形成の為にはネカネの協力が必要不可欠なのだ


「わかりました! 私達に任せて下さい」

横島の言葉に真っ先に反応を示したのは若干嬉しそうなアーニャだった

事の重大さから言葉が出ないネカネに代わり、何故かアーニャは自信満々に言い切っていた

やはりネギには自分が着いてなきゃダメだと思い、少しホッとして嬉しかったのだろう

明日菜達の事を楽しそうに書く手紙を見ていただけに、自分の居場所を取られると思い不安だったのかもしれない


その後横島達は近所の案内をしつつ、横島の家に行っていた

ネギが何処に居るかはわからないが、休日は大抵アジトの方で修業してる事が多いのである


「ネギ!」

「おっ……お姉ちゃん!?」

横島宅に到着したネカネは、リビングで小太郎とテレビを見ていたネギを見つけると駆け寄り抱きしめていた

突然ネカネが来た事にが信じられないネギは、呆然としたまま抱きしめられてしまう


「私も居るわよ!!」

「アーニャ!? そんな、なんで二人が日本に……」

ネカネに続き駆け寄ったアーニャにも、ネギは意味がわからないと首を傾げるばかりである

流石に抱き着きはしなかったが、久しぶりの再会にアーニャも本当に嬉しそうだった


「なんや? 家族か?」

「あれがネギ先生のお姉さんですか…… しかしもう一人は誰でしょう?」

「妹さんかな?」

一方ネギと一緒にリビングに居た小太郎・夕映・のどかは突然の来客にそれぞれに驚いている

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