「わかっている。　だが横島よ、あの子はお前が思うより厳しい過去を持つようだぞ」

同じ頃アジト内のメインコントロールルームでは、土偶羅が横島と高畑の会話を聞きながら複雑そうな表情をしていた


「魔法の国の滅びた王家の忘れ形見とはな……」

土偶羅の視線の先には幼い頃の明日菜と。その本名が印された極秘情報が写されている

関東魔法協会の極秘資料を土偶羅がハッキングして調べたらしい


「詳しい資料がないと言う事はそれだけ重要人物だと言う事か……」

土偶羅が発見したのはアスナ姫が行方不明だと言う情報である

それ以上の詳しい情報はまるでなく、神楽坂明日菜とアスナ姫が同一人物だという情報もまるでない

アスナ姫の情報から明日菜と同一人物だと判断出来るが、それに関しては関東魔法協会ですら全く情報がないのだ


「これは確かにこれ以上調べるのは危険だな。　魔法界の政争などに関わりたくもない」

アスナ姫の情報はあまりなく、出て来た情報は母国が滅びた２０年前の戦争だった

土偶羅は何かしらの理由により高畑が明日菜の身分を隠して麻帆良で新しい人生を歩ませたのだろうと推測するが、懸念があるとすれば２０年前の戦争を終わらせたとされる英雄ナギ・スプリングフィールドの行方不明である


「あのままただの娘として生きた方が幸せなのだろうな」

土偶羅が調べたのは関東魔法協会だけであり、明日菜の過去やその国が滅びた表向きの歴史しかわからなかった

しかしその歴史には不自然な点も多く秘密の存在を感じてしまう

まあ横島に魔法界本国への調査を止められてるため現状ではこれ以上調べようがないが、案外何も知らないままにした方がいいと土偶羅ですら思っていた



「ただいま……、那波さん達来てたのか？」

横島が高畑別れ自宅に帰ると千鶴と夏美が小太郎の生活雑貨の買い出しなどをしてたらしく、リビングには多くの荷物が置かれている


「小太郎君、の買い物してたんですよ。　引っ越しの荷物があまりにも少なかったものだから」

小太郎が麻帆良に住む事が決まり京都から引っ越しの荷物がとどくが、着替えなどの衣服があるくらいで生活雑貨などがほとんどなかったのだ

特に勉強道具などはまるでなく、麻帆良では学校に通わせる予定があった為に千鶴達が買い出しをして来たらしい

小太郎の小学校への転入は、学園長により小太郎に直接話があり決まったようだ


（ネギも一緒に小学校に入れてやればいいのに……）

小太郎の件に関してはまともな対応をする学園長に、横島はため息をはくしか出来ない

どうせならネギも小学校に入れて欲しいと願うが、出来るなら学園長がやってるのかもしれない


「勉強なんかせえへんから、要らんって言うのに千鶴姉ちゃんは……」

ブツブツ文句を呟く小太郎だが、千鶴には勝てないらしく言われた通りにしてるようだ

隣で夏美が諦めろと言わんばかりに苦笑いを浮かべているが


「お前はガキなんだから、学校行って遊んでくりゃあいいんだよ。　下手な仕事回さないように学園長にも言っとくから」

「そうよ、小太郎君。　学校は楽しいわよ。　でも勉強もしましょうね」

あまり学校にいいイメージがないような小太郎に横島と千鶴は学校に行く事を勧めるが、小太郎の表情は冴えない


（あの耳はなんとかしないとダメだな）

小太郎の場合、狗耳が少し目立っている

横島は小太郎の微妙な表情からそれへの対策が必要だと思い、アジトに向かう