その二
「ご存知でしょうが、誘拐事件は犯人にとって一番てっとり早くて解決が難しいんですよ。 だからこそ俺はあんた達に解決させたかった」
その言葉に刀子やガンドルフィーニは少しムッとした表情をする
見た目が未成年にも見える横島の、少し上から目線言葉が気になったらしい
「京都での誘拐に続き、本拠地の結界内にまで簡単に侵入を許して好き勝手されたのに、ロクに対処も出来ないと分かれば今後誘拐は増えるでしょうね。 そしたら次に誘拐されるのはあんた達の身内や親しい人だ」
その瞬間会場が凍りつく
修学旅行で関西呪術協会と京都で揉め事を起こした情報は、ある程度の内容は噂として魔法使い達にも知られている
今回の黒幕はわからないが京都での木乃香に続いて本拠地でも簡単に誘拐されたとなると、次があっても不思議ではない
そうすると警護が厳重な木乃香よりは、魔法使い達の身内の方が遥かに狙われる危険性は高まると考えるのが自然だった
「今回は俺の仲間も誘拐されたんで俺が責任持ちますけど、次は知りませんよ」
そこまで話すと横島は再び歩き始める
正直、つまらない言い争いをしてる時間などないのだ
最悪の展開は土偶羅が防ぐが、出来れば土偶羅の存在を魔族に知られるのは避けたい
「私も行きます」
歩き出した横島を呼び止めたのは再び刀子だった
「誰もやらないとは言ってません。 貴方の作戦に従います」
刀子の言葉に横島は若干驚きの表情を浮かべる
タマモの件から刀子が横島に対してあまりいい感情を抱いてないのを理解してるがゆえに、彼女が一番に声を上げたのは驚きだった
一方刀子としては当然とも言える対応である
人質を取られてる現状で言い争いをしてる場合ではないのは理解してるし、関東魔法協会所属とはいえ元々は新鳴流で関西の人間なのだ
魔法界とも縁遠い刀子は、エヴァに対して必要以上のアレルギーが少ない人物でもあった
まあエヴァを信用する訳でもないが、この状況で裏切りはないだろうという冷静な判断は出来るようである
そんな刀子の判断は会場内の空気を一変させていた
空気に飲まれていた者達も、一人また一人と自分もやる言いと立ち上がり始める
次は自分の身内かもしれない
そんな横島の言葉が魔法使い達の危機感を大いに刺激していた
「今回は君と木乃香君を信じよう」
多くの者が協力すると立ち上がった後、ガンドルフィーニは一言だけ告げて自分も参加する意志を示した
エヴァに関しては納得がいかないようだが、それがガンドルフィーニなりのギリギリの妥協点らしい
結局会場に集まった魔法使い達は、当初の横島の作戦通りに街に散っていく
「見直したよ、近衛木乃香」
魔法使い達が居なくなった会場に残っていたのは、横島達と学園長と龍宮真名だった
「龍宮さん……?」
「一時的とはいえエヴァンジェリンと魔法使い達を共闘させるのは簡単じゃない。 あれはお前の手柄だよ」
クラスメートである真名がこの場に居る事に、木乃香やまき絵達は驚きの表情である
「私はどっちに加わればいいんだ?」
魔族を撃退するチームと包囲するチームのどちらに加わればいいか横島に尋ねる真名だが、横島の表情が一瞬複雑そうになる
「……いいのか?」
「報酬さえ貰えれば構わんさ」
その会話の意味を悟っていたのは、横島と真名とエヴァだけだろう
その言葉に刀子やガンドルフィーニは少しムッとした表情をする
見た目が未成年にも見える横島の、少し上から目線言葉が気になったらしい
「京都での誘拐に続き、本拠地の結界内にまで簡単に侵入を許して好き勝手されたのに、ロクに対処も出来ないと分かれば今後誘拐は増えるでしょうね。 そしたら次に誘拐されるのはあんた達の身内や親しい人だ」
その瞬間会場が凍りつく
修学旅行で関西呪術協会と京都で揉め事を起こした情報は、ある程度の内容は噂として魔法使い達にも知られている
今回の黒幕はわからないが京都での木乃香に続いて本拠地でも簡単に誘拐されたとなると、次があっても不思議ではない
そうすると警護が厳重な木乃香よりは、魔法使い達の身内の方が遥かに狙われる危険性は高まると考えるのが自然だった
「今回は俺の仲間も誘拐されたんで俺が責任持ちますけど、次は知りませんよ」
そこまで話すと横島は再び歩き始める
正直、つまらない言い争いをしてる時間などないのだ
最悪の展開は土偶羅が防ぐが、出来れば土偶羅の存在を魔族に知られるのは避けたい
「私も行きます」
歩き出した横島を呼び止めたのは再び刀子だった
「誰もやらないとは言ってません。 貴方の作戦に従います」
刀子の言葉に横島は若干驚きの表情を浮かべる
タマモの件から刀子が横島に対してあまりいい感情を抱いてないのを理解してるがゆえに、彼女が一番に声を上げたのは驚きだった
一方刀子としては当然とも言える対応である
人質を取られてる現状で言い争いをしてる場合ではないのは理解してるし、関東魔法協会所属とはいえ元々は新鳴流で関西の人間なのだ
魔法界とも縁遠い刀子は、エヴァに対して必要以上のアレルギーが少ない人物でもあった
まあエヴァを信用する訳でもないが、この状況で裏切りはないだろうという冷静な判断は出来るようである
そんな刀子の判断は会場内の空気を一変させていた
空気に飲まれていた者達も、一人また一人と自分もやる言いと立ち上がり始める
次は自分の身内かもしれない
そんな横島の言葉が魔法使い達の危機感を大いに刺激していた
「今回は君と木乃香君を信じよう」
多くの者が協力すると立ち上がった後、ガンドルフィーニは一言だけ告げて自分も参加する意志を示した
エヴァに関しては納得がいかないようだが、それがガンドルフィーニなりのギリギリの妥協点らしい
結局会場に集まった魔法使い達は、当初の横島の作戦通りに街に散っていく
「見直したよ、近衛木乃香」
魔法使い達が居なくなった会場に残っていたのは、横島達と学園長と龍宮真名だった
「龍宮さん……?」
「一時的とはいえエヴァンジェリンと魔法使い達を共闘させるのは簡単じゃない。 あれはお前の手柄だよ」
クラスメートである真名がこの場に居る事に、木乃香やまき絵達は驚きの表情である
「私はどっちに加わればいいんだ?」
魔族を撃退するチームと包囲するチームのどちらに加わればいいか横島に尋ねる真名だが、横島の表情が一瞬複雑そうになる
「……いいのか?」
「報酬さえ貰えれば構わんさ」
その会話の意味を悟っていたのは、横島と真名とエヴァだけだろう