その二

そんなエヴァが幸せになるには、まずは幸せを知らなければならない

横島はナギを全く知らないが、ふとそんな考えがあったのではと思った


「私にはわからんな」

幸せな人間に対して思うところがあるエヴァだが、自分と似たような空気を持つ横島の言葉はある程度尊重している

それに少なくとも木乃香や明日菜達が笑っていられる環境が、エヴァ自身も不快じゃない事だけは確かだった



次の日になり麻帆良に戻った夕映・のどか・明日菜・刹那・まき絵は、さよの服やら生活必需品を買うために街に買い物に来ていた


「さすがに昨日は騒ぎ過ぎたわね。 ちょっと疲れたわ」

酒も飲まないのに朝方までパーティーをして騒いだ結果、体力に自信がある明日菜でさえもさすがに疲れが見えていた


「あそこは食べ物や飲み物がいくらでもありますからね。 気をつけないと太るです」

明日菜でさえ疲れを感じるのだから、当然他のメンバーも疲れを感じている

体力作りやら修行でいくらかは体力がついてきた夕映やのどかだが、やはり明日菜よりは体力がないようだ


「うっ……、そんなに太るかな?」

夕映の太ると言う言葉に即座に反応したのは、何故か明日菜よりも元気なまき絵である

お腹の辺りを気にしつつ太ったかと心配していた


「そんなに急には太らないのでは……? それよりも早く買い物を済ませないと今日中には終わりませんよ」

歩きながらもガールズトークに華を咲かせる一同に、刹那は微妙に困ったように急ぐように急かす

とりあえずさよには横島が用意した服が2~3着あるが、それ以外は全くない

生活必需品から学校の文房具までかなり必要な物を買わねばならないのだ


「あっちの場所は物がたくさんあるんだけど、イマイチ可愛くないのよね~ ハニワが作るみたいだしハニワの趣味かしら?」

アジトには様々な物があるが、明日菜からすれば微妙にセンスが悪いらしい


「その辺りは横島さんもセンスとは無縁な人ですから仕方ないと思うです。 まあ細かくリクエストすれば、大抵の物はハニワ兵が作れるようですが……」

何でもあるように感じる横島のアジトだが、やはり微妙に不便なようである

夕映は普段から横島にいろいろ聞いているが、基本的におおざっぱな横島なだけに細かいところは土偶羅任せだったのだ


「横島先生達は大丈夫かな?」

そんな中のどかは、学園長と交渉に行った横島達の事が気になっていた



「相坂さよに体を与えたじゃと……」

その頃、当然やって来てさよに体を与えたと言い出した横島に、学園長は驚き唖然としてしまう


「ええ、見た目は完璧な人間ですよ。 あくまで寄り代ですが、一般的な科学的検査じゃばれません」

「おじいちゃん、もしかしてさよちゃんの事知ってたん?」

横島が簡単に説明する中で、木乃香は学園長がさよの存在自体には驚きが少ないと感じていた

最近まで魔法を秘密にしていた祖父だけに、さよの存在も知ってて黙っていたのかと疑っているようだ


「うむ……、知っておった。 まあ知っておったのは、ワシとエヴァくらいじゃがのう」

微妙に疑うような木乃香の視線に、学園長は困ったように答える

並の魔法関係者には見えなくても、やはり学園長には見えていたらしい


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