その二

数日後、いいモノを見せると自信に満ちたエヴァに連れられて、横島達が見たモノはアジトのジャングルの真ん中にある城だった


「本当に城を建てたんだな…」

以前エヴァが自分の城をアジト内に移したいと言っていたのを思い出した横島も、あまりに大きな城に驚きを隠せない


「レーベンスシュルト城だ。 19世紀辺りまで実際に暗黒大陸の奥地に建ってた我が居城を、まるごと持って来たものだ。 本来は別荘のようにボトルに入れておくのだがな。 ここの方がいい」

驚く一同に満足そうな笑みを浮かべたエヴァは、簡単な説明をしながら城内に入っていく

豪華絢爛な城に一同がキョロキョロする中、城内ではすでにハニワ兵が忙しそうに工事をしており賑やかだった


「みんな何してるん?」

「ポー、ポー」

近くに居たハニワ兵に話し掛けたのは、もちろん木乃香である


「木乃香、なんて言ってるの?」

「電気工事してるんやって、城内に電気と水道を通すみたいや」

すっかりハニワ兵との通訳と化した木乃香には、みんな素直に感心してしまう


「電気の設備は無いのですね」

木乃香の話に夕映は廊下を見渡すが、もちろん電気などあるはずが無い


「昔は電気など無かったからな… 無い時は不便など感じなかったが、今は電気が無いと不便で仕方ない」

軽く愚痴るエヴァだが、昔は電気が無いのが当たり前だったからいいが、今の便利な生活に慣れると流石に不便らしい


「しかし、このジャングルの真ん中でどうやって電気を?」

「工業地区には核融合発電所があるからな。 そっから引っ張ってくるさ。 電線も途中を亜空間で繋げば簡単なんだよ」

次々に沸いてくる夕映の疑問に横島は答えていくが、バカレンジャー組はすでに興味が無いらしく城内を走り回っている


「かっ…核融合!?」

夕映はあまりの驚きに言葉が上擦ってしまう


「ああ、俺が居た世界では一部で実用化してたんだよ。 そっから技術をコピーして、一部改良して発電所を作ったんだ。 流石に電気が無いと、不便で仕方ないしな」

驚き目を輝かせる夕映に、横島は少し困ったように笑い説明していた


それは神魔戦争初期のこと、横島達は集めれるだけの技術や物資を集めていた
数と力で圧倒的に劣る横島達は、様々な方法で対抗しようとしたのだ

そしてその中には、やはり核関連の技術や物資も多数集められていた


「人類の夢の技術が、すでにここにはあったとは……」

「夢の技術?」

核融合発電の意味を理解しているのは夕映や茶々丸、それに木乃香とのどかくらいである

明日菜は頭が煙りが出そうだし、機械オンチのエヴァも理解して無かった


「核融合発電は水素を用いた……」

茶々丸はいつものように説明を始めるが、バカレンジャー組には理解出来ないようでまるで聞いてない


「茶々丸ちゃん、もういいよ」

話を聞いてもらえず少し寂しそうな茶々丸を、横島は励まして奥に歩いていく


70/100ページ
スキ