その二

「いや… いざという時の為に…」

怯えた表情で言い訳するカモだが、冷や汗を流しているところを見るとそこまで考えて無かったようだ


「お前は前からそうだったな。 別に考えるのを否定するつもりは無いけど、安易に戦うなんて考えるな」

いつも中途半端にネギに入れ知恵をするカモを、横島はあまり心よく思って無い

以前にネギが茶々丸を攻撃した時も考えもせずにけしかけたのはカモだし、何度注意しても簡単に仮契約をしたがるのも問題視していた


「実戦はゲームじゃないんだ。 だいたい10才の子供に戦闘をさせる魔法使い達はどうかしてるぞ。 本当はもっといろんな体験をさせて心の成長をさせないとダメなんだからな」

若干不機嫌そうに語る横島の話を、カモは俯き聞いている

ネギの精神面の問題はカモも理解しており、いろいろ考えさせられるようだった


「あいつは10才の子供なんだ。 どんなに才能とやる気があってもな… それに才能の割には精神面が並の子供と変わらん。 それを忘れるなよ」

横島はそれだけ言うと無言になってしまう

その後静かに考え込むカモに、横島はどこまで自分の話を理解したのか疑問に感じる


(こいつもガキなんだよな~)

ネギと同じく子供の精神のカモに、横島は密かにため息をはく

本当の戦場や戦いを知るならば、あんな安易な事はしないのだ


(全く…、人に説教出来るほど、俺は立派じゃないんだがな)

言いたくない事を言わねばならない立場になってしまった横島は、複雑な気分になっていた

誰も好き好んで説教している訳ではない

自分が言わないと、いずれネギやカモが取り返しのつかない過ちを犯しそうで心配だったのである


(中途半端な覚悟で後悔するのは俺だけで十分だよ)

かつての自分を思い出した横島は静かに遠くを見つめていた



その後仲直りしたネギ達に、心配したあやかや木乃香達はホッとする

そして相変わらずの調子で夜遅くまで騒いだ一同は、次の日元気に帰って行った


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