その二

「ほら、本屋ちゃんも言いたい事言って仲直りする!」

目の前に座るねぎを見ては少し顔を赤らめるのどかに、明日菜はしっかり話すように促す

そしてのどかを前にしたねぎもまた、微妙にオドオドした様子で何を話せばいいか悩んでいる


「ねぎ先生…、私も仲間にして下さい」

しばらくお見合い状態が続いた後、ようやくのどかが語ったのは自分も仲間にして欲しいということであった


「えっ…!? でっ…でも危険ですし、か弱い女の子には無理ですよ!!」

のどかの話に驚くネギだが、即座に否定してしまう

自分は10才の子供だとか、すでに修学旅行や先日の図書館島の地下にのどかが同行した件は頭に無いらしい

この辺りの良く考え無いで答えるところは、10才らしく視野の狭さが目立つが仕方ないだろう


「わかってます! でも、のけ者にされるのは嫌です」

のどかには珍しいくらいの力の篭った表情で語るが、ネギは困った様子で言葉に詰まる

対するのどかもまた、真の意味での危険は理解してない

そんな二人の会話は平行線のまま止まってしまうが…


「ねえ、ネギ? 私の時にはか弱い女の子なんて言葉は無かったわよね?」

微妙な沈黙を破ったのは明日菜だ、何故か違う扱いに文句があるようである


「えっ…!? アスナさんも一応か弱い女の子だと思ってますよ!」

一瞬言葉に詰まったネギは慌てて明日菜もか弱いと話すが、明日菜の表情は納得がいってないような笑顔だった


「一応って何よ! 一人だと寂しくて寝れないお子ちゃまな癖に!」

「アスナさんだって勉強は全然ダメじゃないですか!」

ネギの答えを待つのどかの前で、ネギと明日菜はまた口げんかを初めてしまう


「あの…、二人共落ち着いて…」

そんな二人にのどかはなんとか仲裁しようとするが、なかなか上手くいかない

結局、ネギと明日菜の口げんかは他の部屋にも聞こえるくらい激しく続くことになる


「またケンカしてるわね~」

周りの部屋のクラスメートはいつものケンカに、ようやくネギと明日菜が仲直りしたと思い笑っていた



それから一時間ほどした後、口げんかに疲れたネギと明日菜はようやく静かになる


「とにかく、私と本屋ちゃんはあんたの仲間なんだからね!」

少し冷静になった明日菜は、無理矢理ネギに言い聞かせて話を終わらせてしまう


ネギはそんな明日菜やのどかに言いたい事があるようだが、結局は仲直りを優先させて明日菜の言葉をある程度受け入れてしまう

あやかやクラスメートに散々心配をかけた三人だが、結果はほとんど進歩も無く元の形に戻っている

まあ、人生経験も少ないネギや明日菜達では仕方ない事だし、この辺りがいい落とし所かもしれないが……



一方横島の部屋に居たカモは、暇を持て余して酒を飲みながらネギのパーティーを考えている最中だった


「姐さんが仲直りして前衛として、やっぱり兄貴は後衛かな…」

ボソボソと語るカモの中には、何故か横島や木乃香達までメンバーに入っていた


「お前さ、パーティーって簡単に言うけど、何と戦うつもりだ? それに俺や木乃香ちゃん達を勝手に加えるな。 俺はあの子達を戦場に送るつもりは無い」

声をかけられてビクッとするカモに、横島は呆れたように話をしていく

ネギの目指す立派な魔法使いを否定するつもりは無いが、横島の価値観とは違う存在だ

横島は何も知らない木乃香達を戦いに巻き込もうとするカモに、軽い苛立ちを覚えていた


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