その二

そんな葛藤の最中に、部屋にはネギが戻って来ていた

同室が明日菜とのどかだと知ったネギはどう声をかけていいかわからずに、椅子に座ったままチラチラと二人に視線を向ける


一方明日菜は明日菜で、ネギが声をかけないのが面白くないのか不機嫌そうにしたままだった

そしてのどかだが、彼女はあまりに重苦しい空間に耐え切れないようで、ただひたすらお茶を飲んでいる



その頃横島は、そんなネギ達とは無関係にタマモのブラッシングタイムだった

シャワーで綺麗に洗った子狐タマモを丁寧にブラッシングしていく


「キュ…ン」

耳や自慢の九尾までくまなくブラッシングされたタマモは、気持ち良さそうにウトウトしている

耳も尻尾もペタンとしており、今にも眠りそうだった


ドンドン!

ドンドン!

そんなタマモの眠りを妨げたのは、カモの窓を叩く音である


「大変だ! 兄貴がアスナの姐さんと同じ部屋で変な空気でとてもとても……」

どうやらあまりの重苦しい空気に、カモは抜け出してきたらしく助けを求めて来た


「そろそろ仲直りするだろ。 いっそお前が居ない方がいいかもしれん」

問題を複雑化させかねないカモを横島は少し呆れたように見るが、気持ちいい感じを邪魔されたタマモは不愉快そうにカモを睨む


「あの… なにか?」

怯えた様子で睨むタマモに訳を聞くカモだが、タマモは相手にせずに横島の膝に乗り丸くなる


「今気持ち良く眠りそうだったとこを、お前が邪魔したからな。 少し不機嫌なんだよ」

タマモの機嫌をとるように撫でる横島は、少し苦笑いを浮かべてカモに理由を伝えた

カモはその訳を聞きタマモに謝るが、相変わらず相手にされずに終わってしまう



一方ネギ達の部屋では、一向に事態が変わらないことに痺れを切らした明日菜がネギの前に移動していく


「ネギ、無視してゴメンね」

オロオロと怯えてどうしていいかわからないネギに、明日菜は少し困ったような笑顔を見せる


「アスナさん…、僕の方こそゴメンなさい」

いろいろ考え横島にもアドバイスを貰ったネギだが、未だに明日菜が何故あれほど怒ったのかあまり理解してない

しかし明日菜を怒らせた事は心底後悔しており、必死の表情で謝っていた


「ネギ…、私達はネギが心配だから怒ったのよ。 わかる?」

謝るネギに明日菜は、微妙に顔を赤らめながらゆっくり話していく


「なんかほっとけないのよ。 あんた無茶して死んじゃいそうで… 私達を仲間として、パートナーとしてちゃんと見て」

照れたような表情で語る明日菜の顔を、ネギは驚き見つめていた

自分が無理矢理に明日菜を魔法に関わらせたと思っていたネギは、明日菜がそんな事を言うとは思いもしなかったのだ


「アスナさん… 僕…」

「あんたにすぐに理解しろとは言わないわ。 でも私はあんたのパートナーなんだからね」

必死に何か言おうとしたネギの言葉を遮った明日菜は、それだけ伝えるとネギをのどかの前に座らせる

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