その二

「ごめんハルナ、それは言えないの」

言葉少なく落ち込むのどかに、ハルナは責めることが出来なくなる


「最近のどかも夕映も秘密が多いのよね~ 男が出来ると女の友情はなくなるのかしら?」

ハルナはトゲのある言葉で二人の様子を見るが、夕映とのどかは何も言わない


(別に私は横島さんとは……)

男と言われると微妙に赤くなる夕映だが、余計なことを言うと更に追及が激しくなるので無言を貫く


「まっ、今日はこのくらいにして遊ぶわよ!」

空気が微妙になりそうな頃、ハルナは気を取り直して二人を海に連れ出した

事情を知りたい気持ちはあるが、南国は南国で楽しみたいようである



その頃、明日菜は木乃香と刹那と散歩をしていた


「こうして見ると横島さん家の海と区別つかないわね」

南国の景色を眺めながらアジトの海を思い出して比べる明日菜だったが、全く違いが無いように見える


「あちらも本物だと言うことですからね。 私も良くわかりませんが、感覚的には異世界の地球と考えた方が近いようです」

以前どんな仕組みか少し聞いた刹那だったが、横島はあまり言わなかった

異空間にある世界だとは教えたが、詳しく説明するにはいろいろ秘密がありすぎるのだ

無論刹那を信用しない訳ではないが、過去に関わる部分はあまり話したくないようであった


「委員長も何か企んでるのよね~ どうせネギでも狙ってるんだろうけど…」

突然あやかが南国にみんなを連れて来た訳を疑う明日菜は、さすがに付き合いが長いだけあって何かを感じてるようだ


「アスナ、そろそろネギ君とちゃんと話したらどうや?」

久しぶりに明日菜からネギの名前が出たことを利用して、木乃香は話をネギに持っていく


「別に私は…… それに、ネギって結局私達を見てないのよ」

ネギの話になり少しムッとした表情を浮かべる明日菜は、思わず不満を口にする

それは嫌いと言うよりは、心配や不安というような表情だった


「ウチな、今のネギ君にそれを求めるのは無理だと思うんよ。 なんだかんだ言ってもネギ君は子供やし、明日菜が一緒に寝てあげへんから寂しそうやん?」

意地を張る明日菜を冷静に説得する木乃香だったが、明日菜は何とも言えないようである

木乃香の言うこともわかるが、明日菜は自分から行動も起こせない

結局、何も変わらないまま話は終わってしまう


一方、まき絵に連れられた横島と茶々丸はビーチバレーの真っ最中だった

最初のくじ引きの結果で横島が茶々丸とペアになったのだが、二人のあまりに圧倒的な強さとコンビネーションに僅か5分で組み合わせ変更になるなどドタバタがあったが、概ね楽しそうである


「ムッ… ここは負けられないアル」

「拙者はビーチバレーは初めてなのでござるが…」

横島と新たにペアになったのは麻帆良一の強運と言われる桜子だった

そしてやる気満々の対戦相手は古菲と楓、横島は本気を出しそうな二人に微妙に引き攣っている


「二人共、ほどほどにな…」

横島の忠告もむなしく、試合は格闘ビーチバレーと言う新しいジャンルになってしまう

そんな超人的な試合にも関わらず桜子は無傷でビーチバレーを楽しみ、ちゃっかり横島と優勝したのは彼女の強運の凄さだろう


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