その二

「イマイチお前の性格もわからんな…」

軽い言動の割に女に対して積極的じゃない横島を、エヴァは不思議そうに見る


「…ん? 昔の俺はそんな人間だったんだよ。 モテないからナンパが成功した事無かったけどな」

苦笑いして少し遠い目をする横島に、エヴァ達はあえて何も言わなかった


「横島さん! 遊ぼー!!」

そんな微妙にしんみりとした空気を変えたのは、後ろから抱き着いたまき絵である


「エヴァちゃん達も泳ごうよ!」

エヴァや茶々丸達にも声をかけたまき絵は、亜子と共に横島を引っ張って行く


「私はいい。 茶々丸が泳ぎたいようだから連れて行ってこい」

言葉少なく返事をしたエヴァは、パラソルの下でくつろぎ出す


「ではマスター行って来ます」

少し悩んだ茶々丸だが、エヴァの好きにしろと言う視線を見てまき絵達に着いていく



横島がまき絵達に誘われ水際で遊んでる頃、ネギはカモを頭に乗せたまま一人海で泳いでいた


「はあ~…」

ため息をはきながら泳ぐネギの姿は、まるで疲れた中年のような哀愁を漂わせている
 
 
「兄貴、考え過ぎだぜ?」

「うん…」

いろいろ悩みを抱え込み過ぎてるネギを心配するカモだが、ネギは頭を切り替えるとかリラックスするのは苦手なようでどうしようもない


(困ったな~ 兄貴は真面目過ぎるからな…)

ネギの生真面目な性格が裏目に出ている現状では開き直るくらいの方がいいと思うカモだが、ネギは狭い自分の視野から離れられない

結局カモは、気晴らしをしようと誘うくらいしか出来なかった


「ネギ先生、相当堪えてるようですわね…」

「本当に仲直りさせる手助けしていいの?」

「もちろんですわ! ネギ先生が元気になるなら私は本望です!」

そんなネギを離れた場所から見守っていたのはあやか・千鶴・夏美だった

あやかはネギを心配するが、千鶴と夏美はこのチャンスにネギに近付かなくていいのかと不思議に思う


(いいんちょ、実はいい人なんだよね…)

ネギと親密になるチャンスをフイにしてまでも、ネギと明日菜達を仲直りさせようとするあやかを夏美は損な性格だと思った


「それで、どうするの?」

「ネギ先生とアスナさんとのどかさんの三人を同じ部屋にします。 単純なアスナさんの事ですから、同じ部屋に入れれば嫌でもケンカをするでしょう。 この際とことんケンカさせた方がいいかと…」

あやかは普段と違う環境でネギ達三人を一緒にして、とことん話し合わせようと考えていた

元々ケンカはするが根に持たないタイプの明日菜を良く知るだけに、中途半端にケンカしたのがまずかったのではと考えていたのだ

本当の理由は違うのだが、原因に魔法が関わるためにあやかは知らない訳だし、あやかとしては最善の方法だろう



そして同じ頃、のどか・夕映・ハルナの三人はパラソルの下でくつろいでいた


「ねえのどか、ネギ先生となんでケンカしたの? いい加減私にも理由教えてよ」

好奇心旺盛なハルナは、最近クラスで噂のネギと明日菜とのどかのケンカの原因が知りたくてたまらなかった

いつもなら簡単に真実を話すのどかが今回に限って口が堅いので余計に知りたいのである


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