その二

横島達がそんなことをしている頃、女子寮の自室では雪広あやかと那波千鶴がネギと明日菜達の喧嘩を悩んでいた


「ネギ先生は、明日菜さんとのどかさんとの間に何があったのでしょう?」

元気の無いネギをかわいそうに思い、あやかはそれとなく理由を探るが誰も教えてくれなかったのだ


「私には仲直りのきっかけが無いだけに見えるけど…」

千鶴は理由はともかく、お互い仲直りしたい雰囲気は感じている

この返は保母を目指すだけあって他人の様子を見極めるのが上手いようだ


「きっかけですか…」

あやかは千鶴の言葉を聞き考え込んでしまう



そしてその日の夕方、アジトで一日過ごしたメンバーが帰路に着いた後、横島の家には木乃香、夕映、刹那、まき絵、タマモ、さよが残っていた

家主の横島は、アジトで人造人間試作体のチェックをほぼ不眠で続けている


木乃香達がいつものように、家の掃除や横島の明日の朝食を作っていると来客のインターフォンが鳴った


ピンポーン


「は~い、どちらさま」

近くに居たまき絵がドアを開けると、そこに居たのはあやかである


「まき絵さん!? あなた何故こんな時間にここに?」

「う~ん、通い妻?」

驚くあやかの疑問に、笑顔で疑問で答える辺りまき絵らしいのかもしれない


「かっ…通い妻ですってー!!」

興奮して叫ぶあやかの声に、キッチンから木乃香が顔を現す


「どないしたん、いいんちょ?」

エプロン姿の木乃香を見てあやかの妄想は進化していく


「あなた達、なんてうやらましい。 私もネギ先生の通い妻に……」

「いいんちょ?」

不思議そうに声をかける木乃香の声は、妄想中のあやかには届かないようだ


「何があったん?」

「さあ~」

不思議そうな木乃香とまき絵の声があやかに届き、誤解だとあやかが理解したのは15分後であった



「全くまき絵さんは… 紛らわしい」

ぶつぶつとあやかが文句を付けていると、横島がアジトから戻って来た


「珍しいな~、委員長が来るなんて…」

「あっ、突然申し訳ありません。 少しご相談がありまして」

少し驚く横島だが、とりあえずあやかをリビングに通す
 

「はい、いいんちょ」

(あながち誤解ではないのでは… そういえば明日菜さんの誕生日も木乃香さん達がここで仕切ってましたね)

当然のように紅茶を運んで来る木乃香を見て、あやかは通い妻と言った言葉が意外と当たってる気がした


「相談と言うのはネギ先生のことでして……」

いつの間にか家に居たメンバーが集まったリビングでは、あやかがネギと明日菜とのどかのケンカを、なんとか仲直りさせたいと相談を始める

最近何かとネギや明日菜と関わりの多い横島に、協力をして欲しくて来たようであった


「うーん…」

少し苦笑いを浮かべる横島は、あやかにどう答えるべきか悩んでしまう

(基本的にお人よしなんだろうな~)

ネギや明日菜達が心配でわざわざ相談に来たのは、見ればわかる

しかしデリケートな問題だけに横島としては判断に悩む


60/100ページ
スキ