その二

「放っておけ、どうせここまでは入っては来れんのだろ?」

「ああ、俺と一緒に入るか土偶羅が承認しないと入れないよ」

あまり興味の無い様子のエヴァと横島は、そのまま放置することにして作業に戻ろうとする


「ネギ先生辺りが余計なことを言わなければいいのですが… 朝倉さんの執念深さは並で無いですから」

事態を見守っていた夕映は、朝倉の今後の行動を心配していた


「うーん、問題はそっちか。 と言うか、魔法学校じゃ魔法の秘匿について教育しないのか?」

少し困ったようにエヴァに尋ねる横島

夕映と茶々丸も同じくエヴァを見つめるが、少し不愉快そうな表情になる


「私に聞くな、私は魔法学校など行ってないから知らん。 それに坊やはまだ修業中なのだ。 本来は学園長のジジイが教えるべきことだ」

エヴァの言葉を聞いた横島は、学園長に上手く利用されているのを感じて内心ため息をはく


「あの妖怪爺さんにも困ったもんだな… そもそも俺はマギステル・マギが好きじゃないんだよな」

軽く愚痴る横島だが、いつまでも愚痴ってもいられないのでとりあえず作業に戻っていく


「あの…、先程から出てる魔法って何です?」

横島とエヴァを凍り付かせたのは、さよの一言であった


「そういえば、さよちゃんは知らなかったんだな」

何も知らなかったことを忘れていた横島とエヴァは、当然のようにその場に溶け込んでいたさよを気にせず話を進めていたのだ

存在感が薄いと言うか、悪意がゼロのさよを二人は警戒するはずもなく

さよは話の意味をほとんど理解してないが、しっかり聞いている


「まあいいか、どうせさよちゃんには義体の説明や口止めも必要だし…」

横島としては人造人間の試作体を与える時点で、さよにある程度の秘密を知られるのは仕方ないと思っていた

試作体は魔法以上の秘密の固まりであり、しっかりした情報と教育は必要だと思っていたのだ


「茶々丸ちゃんと夕映ちゃんで、さよちゃんに魔法や俺のこと説明してくれる? 」

横島はぽかーんとしているさよに再び文珠を使い、茶々丸と夕映にも見えるようにした

そして二人がさよをある程度教育することになる

幅広い知識もあり、説明や理解させると言う作業はこの二人がまさに最適だろう



「ついでに坊やとバカレンジャーにも、もう一度説明して言い聞かせておけ。 あの連中も秘密の重要性を理解してない」

研究室でさよに説明しよとする夕映と茶々丸だが、エヴァに言われてバカレンジャーの居る妙神山に移動して行く

そして妙神山の母屋では、結局全員集めて再度魔法や秘密に関する説明や勉強が行われることになった

イマイチ危機感や危険性を理解してないメンバーに魔法の説明や秘密の重要性を話していく夕映と茶々丸だが、もちろん簡単に理解するはずもなく苦戦をしてしまう

特にバカレンジャーは少し難しい話になると勝手に解釈する悪い癖があり、夕映と茶々丸を悩ませる


ちなみにネギと明日菜とのどかは、今だに話をするタイミングを見つけることが出来なく微妙な様子のままであった

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