その二

一方妙神山出張所に居たメンバーは、休憩を兼ねて露天風呂に入っていた

かつての世界の妙神山にあった霊泉を忠実に再現した温泉であり、効能はそこらの温泉とは比較にならないものである


「ふい~ 気持ちいい~」

温泉に入るなり年寄りくさい声をあげるまき絵

ほどよく温かい温泉に入り遠くに見える山々の景色を眺めると、心まで癒されるようであった


「気持ちええな~」

「至れり尽くせりって感じよね。 ここの温泉に慣れると普通の温泉行ってもつまらなくなる気がするわ」

あまりの景色と気持ちよさに幸せを実感する木乃香と明日菜だが、明日菜はこの環境に慣れるのもどうかと考えてしまう


「ここは元々神様が使っていた霊泉だと言いますからね。 普通の温泉とは比べものにならないですよ」

明日菜の気持ちを理解出来る刹那だが、彼女はここが特別なのも良く理解している


「そういえばネギ坊主はどこ行ったアルカ?」

「少し散歩に行くと言ってたでござるが、遅いでござるな」

古菲と楓がいつの間にか居なくなったネギの話をすると、明日菜とのどかは微妙な表情になってしまう


「ネギ先生…」

ポツリとつぶやくのどか、あれ以来ネギとまともに話を出来てない

寂しい気持ちや仲直りしたい気持ちはあるのだが、無関係な一般人と同じ扱いをされたのは嫌であった


一方明日菜も心にモヤモヤしたものを抱えたままである

ネギを突き放したはいいが、それでも気になって仕方ないのだ


結局ネギも明日菜ものどかも、お互い話すきっかけさえ掴めて無いまま時間だけが過ぎている



その頃、外の世界の横島の家をある人物が少し離れた場所から見ていた


「なんか秘密がありそうなんだけどな~」

カメラを片手に、庭や家の中を離れた場所から覗いてるのは朝倉和美である

ここ数日、木乃香達だけでなくネギや明日菜達まで横島の家に通ってるのを密かに知った彼女は、秘密の匂いを嗅ぎ付けて探りに来ていた


「あんまり近付いてバレると怖いしな。 外で秘密の特訓とかしてると思ったのに…」

好奇心と恐怖の狭間で悩む朝倉だが、そんな彼女の行動はもちろん横島にバレている


「朝倉か…、どうするかな~」

さよに与える人造人間の調整に取り掛かっていた横島の居る研究室のモニターには、朝倉の姿がしっかりと映し出されていた

ため息をはきながら研究室のモニターを見つめる横島

朝倉の位置は結界の外だが、一応家の周辺は土偶羅が警戒しているため、朝倉の行動はまる見えであった


「秘密の匂いでも嗅ぎ付けたか… 好奇心旺盛な奴だからな」

「好奇心は仕方ないけど、魔法や裏の世界をナメてるんだよな…」

エヴァのつぶやきに答えるように話す横島だが、対応に悩んでるようである

修学旅行の後、何も罰が無かったのをいいことに反省が無いのだ


一応一般人だし、横島としては自分に関わって欲しくない

それに横島は朝倉を信用して無かった

修学旅行の時に一度警告したにも関わらず、その日の夜には仮契約を使ったラブラブキッスのイベントをしている

あれはそそのかしたカモにも責任はあるが、基本的に秘密の為には後先考えない性格に危機感を感じていた


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