その二

横島が研究室でさよを調べている頃、ネギはカモと二人で海岸に来て居た

見渡す限りの砂浜と海を見ながら、ネギは一人中国拳法の型を練習する


「スゲーな~ 見渡す限りの海岸だぜ…」

何かを悩むように体を動かすネギを見ながら、カモはこの空間について考え込んでいた


(なんで異空間にこれだけの世界を作ったんだ? そもそも何故横島の兄さんはこの世界に来たんだ?)

ネギ達が聞いているのは横島の秘密の一部である

以前は神や悪魔の力を持つと言うだけで驚きを通り越していたので、それ以上考えれなかったのだが…

ここはカモが知る魔法界の知識などと比べても明らかにスケールが違い過ぎる


一つの星以上あるかもしれない広大な世界に住むのは、土偶羅と言う管理者とハニワ型の使い魔のような存在のみで、動物や魚や植物はいるが人は居ない

明らかに不思議な世界であった


(だが、数は少ないが人が住んだらしき家はある… と言うことは前は人が居たと言うことだ。 そいつらは何処に行ったんだ?)

年老いて死んだにしても子孫くらいはいるだろうと、カモは腕組みしながら考え込む


(うむ… やはり横島の兄さんが元の世界に帰ろうとしない理由にも関係はあるんだろうな)

誰も横島に詳しい話を聞かないため、横島の過去に関しては知らないのだ

木乃香や夕映や刹那は少し知るが、彼女達も横島がこの世界に来た理由を偶然としか聞いてない

カモは以前から聞きたいとは思っているが、横島の昔を話す時の雰囲気を見てると聞けないでいる


(あの人も過去に何かあるんだろうな~ 時々遠い目をして淋しそうだし…)

横島の過去が気にはなるが、さすがに人の傷を刺激するような真似はしたくない

まあ、カモの場合は横島やエヴァを怒らせたら怖いと言う理由が大きいのだが


(あの二人を怒らせたら魔法界でも壊滅させそうだな)

たった二人で軽々とリョウメンスクナノカミを消滅させた事を思い出すカモ

あれが自分に向けられたらと思うと怖いどころの騒ぎではなかった


「ふー、疲れた」

しばらく型を練習していたネギは、休憩しようとカモの隣に座る


「カモ君、アスナさんとのどかさんは僕の事嫌いになっちゃったのかな…」

ハニワ兵の似顔絵のマークが付いたオレンジジュースを飲み、一息付いたネギは少し寂しそうであった


少し話は逸れるが、アジト内部で作られた生の食品に関しては、管理用のシールが貼ってありそれがハニワマークである

通常は時間が凍結された亜空間倉庫に備蓄されているが、一応古い物から消費するようにするためのものであった

現在は食費する人が居ないため貯まる一方なのだが、畑や工場はある程度作り続けないと必要になった時に困るため現在も生産量は減らしたが稼動している



「いや… そんな感じじゃないと思うが…」

話は戻りカモはネギを励ますように声をかけるが、カモ自身も何故明日菜達があそこまで意地を張るかわからない


「謝りたいんだけど、何を謝ったらいいかわからないし… 夕映さんが自分で考えないとダメだって言ってたから考えてるけど、わからないんだ」

落ち込んだ様子でため息をはくネギを見てカモは困ったように考えこむ


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