その二

そんなさよとは対照的に、エヴァと茶々丸と夕映は3体の試験体を興味深げに観察していた


「これは不思議な素材です。 鉄でも無ければ、シリコンやゴムでもありません。 未知の素材です」

茶々丸が表面素材を調べるが、全くデータに無い未知の素材である

固さはあまり無く適度に弾力があり、見た目は人肌の色をしているため、一見したら人肌にも見えるがそれも違う

茶々丸の分析を聞いて不思議そうに表面を触るエヴァと夕映
だが、もちろん彼女達でもわからない


「俺の世界の魔法科学で作ったもんだからな… 茶々丸ちゃんとは根本的に違う。 ちなみに試験体だから、3体とも性能が違うよ」

珍しく積極的に話を聞きたそうにする茶々丸に、横島は少し驚きながらも説明を続けていく


試験体1号は、攻撃武装やパワーを中心にした性能に特化している

主に対神魔戦を想定していたため、基本的に実弾兵器ではなく心霊兵器に部類する物の運用テストを目的としていた


次に試験体2号は、防御やスピードなどを中心にした性能に特化している

対神魔用のバリア各種や、本体のスピードや細かな動きなどの運用テストを目的にしていた


そして最後に試験体3号は、情報収集及び分析などの性能に特化している

こちらは最も大切である、戦闘プログラムなどのテスト運用などを目的としていた

他にも試験体3号は、集団戦闘の指揮官的役割を果たす為のアンドロイド開発の為の試験体でもあった


これらの基本は人造人間マリアを基本としていたが、横島が持つアシュタロスの技術や、当時の人界の最先端科学も用いて開発されていた

技術的に言うと、逆天号や究極の魔体の姉妹と言っても過言では無いものである


まあ、横島はエヴァ達には対神魔用とは言わなかったが、テスト運用の為に強力な装備を試験的に載せてるとごまかした


驚く一同だが、最近まで一般人だった夕映と、オーバーテクノロジーで造られた茶々丸の驚きは予想以上であった


「とりあえず、さよちゃんの体は試験体2号にしよう」

ある程度説明したがさよはキョトンとしており、恐らく半分以上意味を理解してない

横島はそんな彼女の天然でドジっ子な性格を見抜き、一番安全な試験体2号に決めていた


(間違って武装を使わないように、プロテクトでもかけなきゃまずいな…)

試験体1号ほどでは無いが、最低限の武装は全てに搭載されている

横島は必要無い性能を、さよが使えないようにしようと心に決めていた

怖がりなさよが、幽霊と間違って人に攻撃する未来が有り得なく無いと思ったようだ


「実際に動くところを見てみたいですね」

一方茶々丸は、少し前に横島が話した新しい体の話を思い出していた

見た目人間と変わらないMシリーズにはかなり惹かれるようである


「すぐに見れるよ。 2~3日調整したら稼動テストするからな」

横島はそのまま試験体2号を抱えて研究室に戻る

そして、かなりの間放置していた試験体のチェックを初めていく


こうしてさよに義体を与える計画は始まったのだった


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