その二

「そかそか~ 良かったなタマちゃん」

学園長があっさり認めたことにより木乃香はご機嫌であった


「ク~ン」

タマモは鼻を鳴らして、木乃香に笑顔で返した

どうやら本人も嬉しいらしい


「まあ九尾は珍しいがあの伝説の妖弧だと言う確証も無いしの… 本来は初めから騒ぐ相手では無いのじゃがの」

学園長は少し歯切れが悪い

本来は妖怪などは問答無用に退治はしないのだが、今回は九尾の妖弧に京都出身の葛葉が過剰反応をした

理由はもう一つ

今日で木乃香を拉致した犯人のうち2人が未だに行方不明だと言うこと

その為に学園の警備員には通常よりも厳重に警戒させていたのだ

そんな様々な理由からタマモは問答無用に狙われたのだった


「結果的に無事だったから良いですが、学園の警備員の教育はもう少し考えた方がいいですよ? 実力の割に頭が堅く、状況判断が悪すぎます」

歯切れの悪い学園長に軽く釘を差す

別に妖怪を助けろとは言わないが、もう少し相手を見極める努力は必要だと横島は思った

なんでもかんでも退治しては、いずれ痛い目に会うだろうと言う警告も含めて、学園長に話したのである


この辺は学園長が木乃香の祖父であることからの忠告だ

余計なもめ事は、そのまま木乃香にも災いとして降りかかる可能性があるのだから…


「わかってはおるが、あれは葛葉君の個人の問題でもあるからの… 本来はワシか高畑君のどちらかは必ず学園に残っておるから大丈夫なんじゃが」

少し申し訳無さそうに苦笑いを浮かべる学園長

彼の言葉の意味を考えれば、高畑以外はあまり判断が出来る人材は居ないと言う証拠である


横島は内心ため息をつきつつ、これ以上は部外者の自分が言うべきことではないので無言を貫いた


「ところで、木乃香達とネギ君の様子はどうじゃ?」

一応話が済んだところで、学園長は修行を始めた木乃香やネギの様子を訪ねる

少し前から気にはなっていたが、横島の家は結界があり魔法でも覗けないため、全く状況を知らないのだ


「木乃香ちゃん達は概ね順調ですよ。 予定外に人は増えましたが、まだ基礎中の基礎ですし、成長はこれからの努力次第でしょう。 ネギに関しては微妙です。 魔法や戦闘技術の成長は異常に早いですが、その割に精神的成長は人並みなんです。 少し前に明日菜ちゃんとケンカしたのも、まだ仲直りも出来てませんし…」

木乃香達の話は普通に話した横島だが、ネギのことになると少し表情が渋い

前から気になってはいたが、力を使うはずの精神が全く未熟すぎるのだ


「ネギ君は人付き合いが下手なんよ~ 周りが年上ばっかりやから常に敬語やし、友達もおらんしな…」

木乃香も少し心配そうにネギの状況を語る

年の割に大人びてるネギは、人付き合いの下手さが目立っている

周りの横島や木乃香や明日菜にでさえ、壁を一枚作っていた

一見大人のように見えるが、子供らしさが無いのを木乃香も危惧している


「うむ… ネギ君は少し過去に問題があるからの…」

学園長は横島や木乃香の話に渋い顔で考え込む

ネギの過去の事件を学園長は知っているゆえに対応に苦慮していた


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