その二

「あの… サウザンドマスターのスタイルは?」

ネギはやはり父親がどんなだったか気になるらしく、伺うようにエヴァに問いかける


「奴のスタイルは魔法剣士、それも従者を必要としないほど強力だ」

エヴァはネギがそれを聞くのを予想していたらしく、少し呆れ気味に説明する


「横島さんとエヴァちゃんは?」

木乃香は少し考えながら横島とエヴァを見る


「私は魔法使いタイプだ。 ただ、この分け方は強くなればなるほど、あまり関係無くなってくる。 私や横島のようにな」

「俺自身は元々は霊能者だからな~ その区分けは違うんだが… まあ、どっちかと言えば魔法剣士だったかな?」

エヴァはすんなり答えたが、横島は珍しく悩んで答えた


元々、型にハマらない戦い方や能力なのだ

文珠はその極みであり、よく非常識だとか霊能と関係無いと言われて来た

ただ、1人で戦えると言う点と、栄光の手などは魔法剣士に近いと横島は思う


「そうなんや~」

木乃香はうんうんと頷きながら感心している


「坊やはしばらく考えてろ。 次にお前達には初歩の呪文を教える」

エヴァは初心者用の杖を数本ちゃぶ台に置く


《プラクテ・ビキ・ナル 火よ灯れ》

「杖に魔力を集めて呪文を唱えるのだ」

エヴァの言葉に木乃香達は、いよいよ魔法を練習出来るのが嬉しいのか、笑顔になり杖を手に持つ


木乃香と夕映とのどかに加え、まき絵と古菲まで杖を持ち呪文を唱えてみる


「プラクテ・ビキ・ナル 火よ灯れ!!」

みんなそれぞれ杖を振りかざして呪文を唱えるが…

もちろん魔法が成功するはずは無い


「簡単には出来ん。 お前達がやっていた、体力作りなんかと同時に練習していく。 センスにもよるが、その初心者魔法を覚えるまで普通は数ヶ月はかかる」

エヴァは魔法に苦戦するメンバーに今後の説明をする


「出来へんな~ せっちゃんはやらへんの?」

杖を振り呪文を叫ぶ面々をにこやかに見ていた刹那に、木乃香が不思議そうに聞く


「私は出来ますから」

刹那は指先に気を集中して呪文を唱える

「ラン!」

刹那の指先にライターのような小さな火が灯った


「せっちゃんスゴい!」

木乃香は拍手しながら刹那に尊敬の眼差しを向ける


「私は陰陽術を少し使えますから…」

刹那は木乃香や夕映達に見つめられ、恥ずかしそうに顔を赤らめた


「横島さんは出来るの?」

明日菜は自分も挑戦しようか悩んでいたが、恥ずかしいのでやらないで横島に質問をして来る


「ん? どうだろうな~ 多分出来ると思うけど…」

横島は首を傾げて初心者用の杖を掴む


「プラクテ・ビキ・ナル 火よ灯れ」

横島が僅かばかり魔力を杖に込めて呪文を唱えると、杖の先に小さな火が灯る


「スゴーい! どうやってやったの!!」

近くで杖を降っていたまき絵が横島に詰め寄って来た


「俺は魔力のコントロールは得意だからな~ この世界の魔法とは違うが術はいろいろ使えるし…」

横島は笑って杖を置く


「魔法や術の基礎的な物は、世界が違ってもそんなに変わらないんだよ。 まあ、俺の術は人間用じゃないからまた違うがな」

横島は説明しながら狐火を手のひらに出して、まき絵に見せる


「いいな~」

まき絵は羨ましそうに見つめる


「まあ、修行すればみんなも使えるさ」

横島は少し苦笑いしながらまき絵の頭を撫でていた


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