その二

「何があったんだ?」

エヴァは少しため息をつき横島に尋ねる

視線の先ではネギが落ち込んでいた


「うーん、実はな…」

横島は困った様子でエヴァに説明をする


「坊やにはいい薬だ。 せいぜい苦しむがいい」

エヴァはニヤリと悪い笑みを浮かべてつぶやく


「まあ、今のうちに考えた方がいいのは確かだな…」

横島としてはこの問題に口出しするつもりは無い

麻帆良に居る間は戦いが無いとは思うが

だからこそ、今のうちに関係をしっかりさせるべきだと思っていた


選ぶのは本人達だ

横島はそんな考えである


横島とエヴァがそんな話をしている頃

楓、古菲、チャチャゼロ、タマモは時代劇の再放送に夢中であった

特に初めてテレビを見るタマモは、目を輝かせて見入っている

ふかふかのソファーにちょこんと座り、チャチャゼロと並んでテレビを見るその姿は、少し不思議な光景であった


「横島、この人数みんな私達が教えるのか?」

エヴァは個性様々な面々を見て少し困った様子だ


「うーん、そんなつもりは無かったんだが…」

横島は苦笑いして部屋を見渡す

古菲はネギの武術の師な為仕方ないが、楓まで何故か居る

まあ楓としては、強い者達が集まるなら自分も参加したいとの気持ちからだが…


横島とエヴァは少し困っていた


「今更、ダメだとは言えんだろ~」

横島としては、エヴァの別荘で最低限の覚悟は促した

その結果なら仕方ないと諦めている


「仕方ないな… 魔法使い見習いと、気を使う者達を分けて教えるしかないか…」

エヴァは多少嫌そうな表情をするが、教える気はあるようだ


「確かに、実力が様々だからな。 分けて教えるしか無いか…」

横島はチラリとネギを見る

一番の問題はネギなのだ

精神的成長が一般的子供と大差無いのに関わらず、強すぎるのだから…

横島はネギの力と才能が、ネギの将来に災いを呼ぶ予感がしてならない


「私は悪の魔法使いなのだがな…」

エヴァは自分の立場がおかしいのに苦笑いがでる

決して人に魔法を教えるタイプでは無いのだ

人に恐れられ、忌み嫌われる闇の魔王の扱いだったのだが…


「エヴァちゃん、ケーキ食べる?」

そんな時、ニコニコと笑顔のまき絵がみんなにおやつのケーキを配っていた


「フフフ… 貰おう」

エヴァは面白そうに微笑み受け取る


「どうしたの?」

まき絵は不思議そうに首を傾げる


「お前は私を怖くはないのか? 吸血鬼だぞ?」

エヴァはふとまき絵に問いかけた


「うーん、よくわかんないけど~、エヴァちゃんはエヴァちゃんでしょ? 怖く無いよ!」

まき絵は少し考えたが、笑って答える


「そうか。 ならいい」

エヴァは苦笑いを浮かべてケーキを受け取る


「どうかしたのか?」

先ほどの会話を聞いていた横島がエヴァを心配して問いかける


「いや、悩むのが馬鹿馬鹿しくなっただけだ…」

エヴァの表情はあまり変わらないが、気持ち微笑んでいるようだ


「そっか」

横島にはエヴァの表情が少し嬉しそうに見えている

そんなエヴァを見て、あえてそれ以上は聞かなかった


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