その二

高畑の車を降りた横島は、タマモを肩に乗せて学園に入っていく


麻帆良学園は、最近珍しく自由な校風の学園である

10才のネギが教師をしたり、オコジョのカモを連れて学園に通ってるくらいだから当然だが…

しかし裏返して考えれば、それだけ自由にできる大きな魔法使いの組織が裏にあるのだろう


そんな麻帆良学園でも、さすがにタマモは目立っていた

まあ、生まれたての子狐を連れて来る教師など目立って当然なのだが…


横島が職員室に入ると、教師の多くは子狐に興味を抱くが、特に問題にはしなかった

葛葉刀子と魔法を知る一部の教師は警戒感をもっていたが、それでも特に表立って騒ぐことは無い


横島は職員会議が終わると、今日の予定を確認する

受け持ちの教科の無い横島は、休みの教師などが居なければほとんど仕事が無い

今日は2時間だけ自習の監督があるだけであった


そんな横島の近くでは、ネギが落ち込んでいる

「おはよう、ネギ。 その様子だとまだ悩んでるらしいな」

横島は困ったように苦笑いしながら、ネギに話しかける


「横島先生… 僕は何がいけなかったんでしょうか?」

ネギは明日菜とのどかのことを悩んでいるようだ


「うーん… 俺はなんとも言えんな。 正直、お前の気持ちも、明日菜ちゃんの気持ちも両方わかるからな。 やっぱり答えは自分で見つけなきゃ意味が無いんだよ」

横島の言葉にネギとカモは考え込む


「まあ、学校に居る間は気持ちを切り替えろよ」

横島はそう話して、ネギと共に教室に向かう


「おはよう」

「おはようございます。 皆さん」


横島とネギが教室に入ると、3ーAの生徒達はテンションが高く騒ぎ出す


「おはよう! ネギ先生」

「横島先生おはようー」

特に変わらないいつものテンションだが、横島の肩にいる子狐を見つけると、生徒達は集まって来た


「可愛い~!! 横島先生のペット?」

「ちっちゃい狐だねー」


横島の周りにはタマモ見たさの生徒達が集まってしまう


「ああ、俺の家族みたいなもんだよ。 みんなよろしくな」

横島は少し考えて簡単に説明した


一方、みんなに見られてるタマモは、少し困ったように横島を見る

敵意が無いので警戒はしないが、人間にこんなに注目されて戸惑っているようだ


「あの~ 皆さん座って下さい。 ホームルームをするので…」

ネギは困ったように場を収めて、ホームルームを始める


一応、普段通りにしているつもりだが、明らかに元気が無いのはみんなにバレバレであった


そんな中ネギは視線を明日菜に向けるが、明日菜はネギを無視する

その出来事が、ネギを一段と落ち込ませる

そんなホームルームであった


その日1日、ずっとネギはそんな調子で授業をする

いつも元気なネギの様子に、どこのクラスでも心配されるが、ネギは笑顔を作って大丈夫だと答える


一方、横島とタマモは何処のクラスに行っても注目を集めていたが、大人しくしているタマモは何処のクラスでも簡単に受け入れられた


そんな調子で1日授業が終わると、木乃香達は学校帰りに横島の家に向かう


今日は今後の修行の説明などがある為、エヴァが集合をかけたのだ

明日菜とのどかとネギ、それに古菲に楓まで集まったが、相変わらず明日菜はネギと口を利かない


そんな大人数の中で、木乃香と茶々丸達は大量の夕食の準備にかかる


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