その二

そして…

ネギとのどかは、なんとか目標の図書館最深部に到着した

目の前には世界樹の木の根が辺り一面覆い尽くして、中央には石造りらしき古い門がある


「やっと、着きました…」

のどかは息を切らして、疲れた様子で周りを眺めた


「この扉の奥に…」

ネギも疲れた様子だが、目の前に父の手掛かりがあると思うと我慢出来ないようだ


「開きそうですか?」

のどかは扉を調べるネギを少し離れた場所から見ていた


「やってみます。 少し休んでて下さい」

ネギは夢中で扉を調べている


その時…


ピチャ…

ベチャ…

何か雨漏りでもするような音がのどかに聞こえた


「わっ ベタベタ…」

のどかは自分にも降って来た水分を手に取り、気持ち悪そうに見上げようとする

同時にネギとカモは、のどかの声に後ろを振り向く


「…………」

のどかはあまりの光景に、しばし呆然としている


ギロッ!

目の前のモノがのどかとネギを睨みつける

そして、敵意を剥き出しにしていた

「ドッ…ドドド……ドラゴン!?」

ネギはのどかより先に目の前のモノが現実だと理解したようだ

だが、その表情は怯えと戸惑いに満ちている


「絵本にこういう出来事はあんまり…」

のどかはあまりの事態にリアリティが無いようで、うっすら引きつった笑顔だ



「ネギ! のどかちゃん!」

その時、ドラゴンの背後からネギとのどかを呼ぶ声がした


「ギャアオオッ」

ドラゴンは声のする背後を振り返る


しかし、そこには誰も居ない

ドラゴンは不思議そうに辺りを見回すが…


「全く… 明日菜ちゃんも慌てて飛び出したら危ないだろ?」

今度はドラゴンの上から別の声が聞こえた


「ギャアオオッ」

ドラゴンは自分の上空に居る者達を威嚇するように叫ぶ


「明日菜さん!?」

ネギは上空に横島と、横島に抱えられている明日菜と夕映を見つけて驚いていた


横島はドラゴンに視線を向けながら、ネギとのどかの元に降りて来る


「ネギ! 大丈夫!?」

「のどか! 怪我は無いですか?」

地上に降りた途端、明日菜はネギに駆け寄り、夕映はのどかに駆け寄った


「明日菜さん!? 何故此処に?」

ネギは突然現れた明日菜を不思議そうに見る


「そんなことより来なさい!」

明日菜はネギとカモを抱えると、急いで横島の元に戻る


「のどか、さあ」

夕映ものどかを連れて横島の元に急ぐ



その時、ドラゴンは固まったように動かない

先ほどまで叫んでいたが、今は静かに横島を睨むだけである


「動くなよ… 動いたら容赦しないからな」

横島の体からは、凄まじい殺気が溢れて出ていた

ドラゴンはその殺気に動けなくなっている


「悪いな… もう帰るから勘弁してくれ」

横島は最後にドラゴンにそう話して、ネギ達を連れてその場から消えた


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