その二

そこから横島達は、ネギ達から付かず離れずの距離で尾行していく


ゴロゴロ…

バシバシ…


ネギとのどかは、何度も罠に引っかかりながらも、魔法で切り抜けて進んでいく


「う~む… 見頃なまでに罠にかかるな。 あれじゃ罠を仕掛けた人も本望だろう」

横島は面白いように罠に引っかかる、ネギとのどかを見て呟く


「もはや図書館と関係ない気がするです… そもそも何故地下にこんな施設を作ったか疑問です」

夕映は周りの通路を見ながら考える

魔法を知ってから改めて来ると、ここは更なる秘密の宝庫だ


しかし…

そんな夕映はほんのり顔が赤い

相変わらず横島と手を繋いで歩いてる為だ

この尾行を一番楽しんでるのは彼女だろう


「多分、地上の街より、こっちが本命だろうな~」

横島は夕映の疑問にポツリと答える


麻帆良は日本有数の地脈のポイントに出来た街

本来は地下のこの施設の為に作った街だろうと、横島は考えていた


それに、麻帆良には世界樹と呼ばれる巨大な木がある

あれが神木・蟠桃だと横島は知っていた

あの木は本来人界にある木では無い

神界や仙界にある木なのである

その蟠桃を豊富な地脈の力で育てているのだ

麻帆良の各地には魔法の力も感じる

明らかに何かしらの目的があるのだろうと予測していた


「何の目的があって作ったのでしょう?」

夕映は、横島の呟きに何か知っているのかと思い、問いかける


「俺もわからないよ。 でも麻帆良の秘密は、魔法使いの中でもかなり重要な秘密だろうよ」

横島は苦笑いして答える

夕映が予想通り興味津々なのだ


だが横島は、麻帆良の秘密を調べる気も関わる気も無い

学園長はある程度信頼しているが、魔法使いの集団は信頼してないからだ


個々の人を差別する気は無いが、魔法使いの集団は魔法界と言う異界を持ち

自分達の国や組織が多数存在する


異質な存在の横島が、そんな魔法社会に関わっても、いい事は何一つ無いのだから…


「そうですか…」

夕映は少し残念そうに横島を見る


「夕映ちゃんの好奇心は素晴らしい。 でもね… それは危険でもあるんだ。 気持ちはわかるが、ネギのように秘密を求めて危険に突っ込まないでくれ…」

横島は夕映と手を繋いだまま、静かに話して聞かせた

優しく笑顔で話しているが、少し心配そうに夕映を見つめている


夕映はそんな表情を見てハッとする

「ごめんなさい。 私は大丈夫です」

夕映は申し訳なさそうに横島に頭を下げた

自分の好奇心で、横島や木乃香達を危険に晒してはならない

夕映はネギを見てそれを痛感している


(今の私は、横島さんに守られてばかりです。 でもいつか、横島さんの役に立てるでしょうか?)

夕映は、横島の手の温もりを感じながら考えていた

自分に何が出来るかを…


「好奇心自体はいいことだ。 ただ、1人で求めないでみんなに相談してな」

横島は落ち込みそうな夕映に、頭を撫でて元気づける


「はい… ありがとうです…」

頭を撫でられた夕映は、心地よさでほんのり顔が赤くなり幸せそうだ


「もう~!! 危なっかしいわね!」

そんな横島と夕映の少し前では

明日菜が先を行くネギを見て、心配そうに怒っていた


35/100ページ
スキ