その二

「横島さん…」

木乃香は横島に期待するような視線を向ける

ネギと明日菜やのどかだけでは心配なようだ


「わかったよ。 ネギが動いたら俺が影で尾行するよ。 明日菜ちゃんとのどかちゃんの、どっちかがネギに着いて行けなかったら、俺が連れてく。 ただし隠れてな…」

横島はこうなる予感はしていた

ネギの未熟さはここのみんなが良く知るし、木乃香達が明日菜やのどかを心配する気持ちも理解出来る

何かと秘密のある麻帆良の地下施設に行くには、木乃香達では少し荷が重い


「横島さんありがとう!」

「ありがとうございます…」

明日菜とのどかは嬉しそうに笑顔を見せる

やはりネギが心配なのだろう


「横島さん、よろしければ私も行きたいのですが… 図書館島の地下は多少は役にたてると思います。 それに、私も興味があるです…」

夕映は横島の様子を伺うように見上げる

遠慮がちだが目が輝いており、知的好奇心がうずいてるのはみえみえであった


「いいよ。 ただし、他のみんなは待っててくれ。 これ以上人数が増えたら尾行にならん」

横島は少し苦笑いをしたが、笑って承諾する

夕映の知的好奇心は横島も良く知っていた


結局、横島が影からネギを尾行することになり、次の日の朝に戻る



「横島さーん、遅くなってごめんなさい!」

明日菜は新聞配達から急いで戻ったらしく、少し息をきらしていた


「いや、大丈夫だよ。 じゃあ行くか…」

明日菜が少し休憩するのを待ち、横島はネギを追って行くことにする


「どこに行ったかわかってるですか?」

「ああ、卷族を使って監視してるよ」

横島は夕映の疑問にニヤリとして一匹の蝶を見せた


「すごいわね… でも今から追いつくなら急がなきゃね!」

明日菜は気合いを入れるが…


「空間転移するから大丈夫だよ」

横島はタマモを頭に乗せて、夕映と明日菜の手を握る


その瞬間、横島達は消えた


「えっ!? ここは…」

突然変わる景色に、明日菜は驚き辺りを見回す

明日菜自身、修学旅行の時に横島の転移を体験しているが…、慣れないようだ


「どうやら図書館島の地下のようですね…」

夕映は石造りの通路を見て、目を輝かせる


「ネギは少し先を歩いてるよ。 杖で一気に地下に降りて来たようだ」

横島の視線の先からは、なにやらゴロゴロと音がする

ネギ達が罠にかかってるようだ


「ネギを追うわよ!」

明日菜はネギを心配して歩き出す


「コン!」

1人先を急ぐ明日菜の前にタマモが降りて、明日菜の足を止めた


「ちょっと、どうしたのよ!?」

突然横島の頭から降りて、止めるタマモに明日菜は困惑しながら話しかける


「そこの先に罠があるから危ないってさ」

横島が通訳すると、タマモはコックリと頷く


「そうだったの… ありがとうね!」

明日菜は少し恥ずかしそうにタマモを抱き上げる


「ここは罠がかなりあるようだ… 慎重に進んでくれ」

「わかったわ」

横島の話に明日菜は頷き、歩き出す


(ネギが心配なんだな…)

横島は、結局先頭を歩く明日菜を見て微笑ましく思う


そこからは、罠があればタマモが明日菜に声を出して知らせて進んだ

せっかちな明日菜は、横島が声をかける前に進んでしまうのだ


横島は夕映と手を繋ぎ、彼女が罠にかからないように導いて進んでいく

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