その二

「ねえ… 試験は結局どうなったの?」

明日菜は遠慮がちに横島に聞く


「それはネギが起きてから話すよ。 エヴァちゃんと相談しないとダメだしな」

横島はその場での判断をさけた


「さて、時間はタップリあるし、しばらくゆっくりしてるといい。 今日の話はゆっくり時間をかけて考えてくれ。 すぐに結論を出す問題じゃないからな…」

横島が笑顔でそう話すと、明日菜達や木乃香達は頷く

そしてやっと緊迫した空気が無くなり、それぞれが和やかに話しを始める


それからしばらくは各々自由な時間を過ごしていく

と言っても、体を動かす修行をする者がほとんどであったが…

中学生の集まりな為、ちょっとした合宿のような賑やかな修行だった


そして10時間ほどたち、ネギが目を覚ます

ネギは自分が何をしたか半分覚えてなかった

だが、暴走したのはなんとか覚えており、魔力の暴走により体のあちこちが痛いようである

「ネギ先生、大丈夫ですか?」

のどかは心配そうにネギを気遣う


「はい、心配をかけてすいません」

ネギはのどかに謝って、エヴァと横島の元に歩いていく


「すいませんでした」

ネギは悲痛な表情で、横島とエヴァに頭を下げる


「問題外だな… 幻術とはいえ、恐怖やプレッシャーに負けるなんて…」

エヴァは興味無い様子でネギにダメだしをする

「あれが本物なら、坊やも人質も仲間も全滅だ。 過ぎたる才能と力だな」

エヴァの言葉にネギは頭を下げたまま聞く


「ネギ…、お前の試験は失格だ」

横島は静かにネギに結果を伝えた

その結果に、ネギや明日菜達は落胆の表情が隠せない


「……だが、このままお前を放置も出来ない。 このままではお前は必ず明日菜ちゃんやのどかちゃんを傷つける」

横島の言葉にネギは反論出来ない

ネギは決して明日菜達を巻き込み傷つけたいとは思わない

だが、さっき暴走したばかりで、自分でも不安が残っている

「修行はつけてやる… だが、条件を出す。 一つ目、お前が修行して得た力を使うに値しないと俺やエヴァちゃんが判断したら、その時点で魔法を捨てろ。 二つ目、もしお前が明日菜ちゃん達を傷つけたら……、俺がお前を殺す! それが条件だ。 それを受け入れるか考えろ」

横島の表情は言葉とは違い悲しみに満ちている

ネギは横島の言葉を驚き目を見開いて聞いていた


「ネギ…、それにみんなも聞いて欲しい。」

横島は周りで様子を見ていたみんなに向けて話し出す


「俺はこの世界の人間じゃ無い。 平行世界と言う異世界から来たんだ」

突然話し出した横島の話にネギや明日菜達は驚いて意味を理解出来ない


一方木乃香やエヴァ達は違う意味で驚いている

この時点で話すとは予想もしない展開であった


「異世界とは魔法界ですか?」

ネギは自分の知る魔法界も異界にある為、そちらかと考えたようだ


「いや、全く違う。 似たような歴史をたどった全く違う世界だ」

横島は驚くネギ達にゆっくり話して聞かせていく


オカルトが秘匿では無い世界

神や魔が当然と存在する世界

横島の生まれ育った世界のことを…


「そんな世界があるなんて…」

ネギは驚き呟く


「そして、俺は人間じゃない。 正確には元人間だ。 ある事件を境に俺は人では無くなった」

横島は淡々と話していくが…

これには木乃香達まで驚いている

横島が人間でない事実は刹那しか知らないのだ

いや、例外はエヴァくらいだ

エヴァは横島の隠された力の一端を見ており、薄々感じている


「それでか…」

エヴァは納得したように呟く


「ああ、詳しくは話せないが、今の俺には9人の神、魔、妖、人の魂の一部を持っている。 俺が使う力や能力の大半がその人達から受け継いだモノだよ」

横島は驚き声も出ないメンバーに、少し苦笑いして説明している


「コン!」

タマモは確認するように声を上げる


「ああ、お前にも説明しないとな… 俺の中には、タマモと同じ存在の魂の一部もある。 金毛白面九尾は遥か昔から存在した最強の妖弧。 俺の世界にも存在したんだ。 俺は自分の世界の金毛白面九尾の力を持ってる。 俺の世界の九尾と、タマモは魂から全て同じだ。 タマモが目覚めたのも、俺の力が原因かもな…」

横島はタマモを撫でながら、困ったようにみんなを見る

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