その二

「えっ!?」

「これは…?」

「景色が変わったアル!」

のどか、夕映、古が驚き声を上げる

突然景色が変わり、その場のメンバーは驚きを隠せない


「みんなが見てるのはネギの記憶にある幻だ。 エヴァちゃんの別荘なのは変わらないから動かないでくれ。 これからネギが最も恐れる敵が現れる。 だが幻だ。 危険は無い」

横島の話に一同は驚き周りをキョロキョロする

「こんな強力な幻術を簡単にみんなに見せるなんて…」

カモは明日菜の肩に乗り驚愕している


「俺マデ見エルゼ…」

チャチャゼロは、違う意味で驚いている


「茶々丸ちゃんとチャチャゼロも魂がある この幻術は精神に直接幻を見せてるから、2人にも見えるんだ」

横島は淡々とチャチャゼロに説明する


「すごーい!! 映画みたい!」

まき絵も驚いているが、彼女は少し驚き方が変わっているようだ


「さて、ネギが最も恐れる敵は誰だろうな…」

横島は静かに指先に妖力を集める


パチン!


再び指を鳴らすと、景色がまた一変する

そこは山に囲まれた村のような場所


だが、横島達はその景色に驚いていた


村が全体が真っ赤に染まり燃えているのだ!

炎の熱気は凄まじく、遠くには魔族らしき大軍が見える


「これは…」

さすがの横島も驚き呟く


横島がかけた幻術はネギが最も恐怖を抱く敵を見せる幻術である


その為横島は京都でのスクナが出ると予想していたのだ


一方、ネギには幻術を本物と信じ込むようにより強力な幻術がかかっている


ネギは真っ赤に燃える村を見て人を探して叫んでいる


「ネカネお姉ちゃん おじさーん」

ネギは顔を真っ青にして人を探す


ネギはその場を動いてないが、幻術が動いてネギが歩いてるように進んでいく

その時ネギの前に現れたのは、魔族の大軍だった


魔族は両手に人を握っている

右手には父親

左手にはネカネ


両方とも瀕死の状態で苦しそうだ

「ネギ!」

明日菜はたまらずネギに叫ぶが、幻術がかかっているネギには聞こえない


「騒ぐな 神楽坂明日菜。 全部幻だ」

エヴァは険しい表情でネギを見つめる


さすがのエヴァもネギが悪魔と出会っていたのに驚いていた

これだけの悪魔の大軍が人間界に来るなど異例中の異例である


真っ赤に燃えて、破壊された村

その景色は地獄のようである


この光景にはその場の者が皆驚き、悲しそうにネギを見つめる


「ネギ・スプリングフィールド…」

魔族の真ん中にいる者がネギに語りかけてきた

ネギは怯えながらも魔族を睨む


「この者達を助けたいか?」

魔族は表情を変えずネギに問う


「お…お父さんとネカネお姉ちゃんを返せ!」

ネギは手には杖を持ち魔族を睨む


「この者達を助けたくば、魔法使いを辞めろ! お前さえ居なくなれば、世界は我々のモノになる。 そうすればこの2人は助けてやろう……」

「………」

魔族の問いかけにネギは何も答えれない


「ネ…ギ…」

「ネギ…、にげ…ろ…」

幻のネカネとナギは苦しそうに言葉を紡ぐ


「僕は…、僕は…」

ネギは決断が出来ない

いや、魔族の言葉を聞いてない

心から求めている父親と唯一の肉親である姉

その2人が、あの時と同じように死に瀕している


自分が最も恐れる相手によって……

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