その二

横島の話を聞いて驚いていたのは、カモ、明日菜、のどか、古、楓、まき絵であった


エヴァ大体の内容を知っているし、木乃香達や茶々丸は横島を信じている

従って、驚いているのは昨夜魔法を知ったメンバーとネギを慕う者であった


「ちょっと…、それはやりすぎじゃない? ネギはまだ子供よ!?」

心配そうな明日菜は、たまらず横島に問いかける


「ああ、やりすぎだよ。 だから最初に言ったんだ。 子供にすることじゃない。 だが、ネギが今首を突っ込んでる世界は大人も子供も女もない。 強者か弱者かしか無い世界なんだ」

横島は明日菜の言葉を肯定する

そして、よりキツい現実であることを教えていた


「もう少しなんとかならないですか?」

のどかも心配なようで、横島に頼むように話す


「この場には知らない者もいるが、ネギは修学旅行の前にエヴァちゃんと敵対した。 その時、事実を調べる前にエヴァちゃんの仲間である茶々丸ちゃんを殺そうとしたんだ。 幸い俺が助けに入ったから無事だったが、あの時俺が居なければ殺してた可能性が高い」

横島が険しい表情のまま話した内容はまたも一同にショックを与える

この話は、明日菜、カモ、エヴァ、茶々丸、チャチャゼロしか知らない

初めて聞く話に、のどかや木乃香達まで驚いてネギを見つめるし

あの時悩んだ明日菜は複雑そうに横島を見た


一方ネギは申し訳なさそうにしょげて茶々丸に頭を下げるが…

「ネギ、謝れば済む問題じゃない。 俺が言いたいのは、お前の精神的な甘さだ。 自分の力も敵の力もわからない。 敵対すれば悪だと思ってるその考え方も問題なんだ」

横島は困ったように話すが、ネギはうなだれるばかり


「横島、頭の堅い坊やに今言っても無駄だ。 試験を受けるのか決めさせろ」

エヴァは呆れ気味に話を進める

ネギが説教をしてわかるくらいなら、ここに居ないのだ


「ああ、そうだな… ネギ、試験受けるか?」

横島はネギに選択を迫る

その場の者が皆ネギを見つめ答えを待つ


「お願いします。 僕が未熟なのは知ってます。 ですから横島さんやエヴァンジゥリンさんに弟子入りしたいんです!」

ネギは強い瞳で横島を見つめる


やはり… 

理解してない


「馬鹿者が…」

エヴァは呆れて呟く


「じゃあ、外に出るぞ」

横島は言葉少なくネギを外に連れ出す


高い塔の上の広い広場でネギは中央で静かに横島を待つ


横島は、離れた場所にいる他のメンバーに試験の説明を始める

「これからネギに強力な幻術を見せる。 ネギがその幻の中でどう行動するかだ。 危険だから近づかないでくれ」

横島はみんなに注意をして、腕の中で眠るタマモを木乃香に渡す


「すまんが頼むな」

「ええよ」

木乃香は笑顔で静かにタマモを受け取り膝に乗せる


タマモは生まれ変わってすぐ横島を探し求めた為、疲労があるらしく起きる気配は無い



横島は広場の中央で待つネギの前に近づいた

「じゃあ、試験始めるぞ?」

横島はネギに最終確認をする


「はい! お願いします!」

ネギは真剣な表情で頭を下げる


横島は妖力を封じているネックレスをはずす

「じゃあ…、見せて貰おうか。 お前の真の価値観を」

横島は右手を静かに前に出して、指を鳴らす

パチン!


その瞬間、ネギの周りの景色が変わる

横島は幻術をかけると、転移で木乃香達の場所に移動した


「コン!?」

一番最初に反応したのは寝ていたタマモであった

突然、近くで自分と同じ力を感じて驚いている

タマモは不思議そうにキョロキョロ見渡す

「タマモちゃんどうしたん?」

木乃香は起きたタマモを撫でながら聞く


「すまんな。 俺の力を感じて起きたか?」

木乃香の問いに答えたのはいつの間にか隣に転移していた横島だ


「横島さんの力?」

木乃香は不思議そうに聞く


「後で説明するよ。 さて、ネギの悪夢を見るかな」

横島は再び指を鳴らす

パチン!


すると、その場で見物していたメンバーもネギと同じ景色が見える


21/100ページ
スキ