その二

まき絵が試験をしている頃、木乃香達は朝食を食べていた


「横島さんは何処に行ったんですか?」

夕映は辺りを見回したが、横島が居ないので少し気になって聞いた


「横島先生はまき絵さんの試験の様子を見に行きました」

茶々丸は木乃香達やエヴァにお茶を出しながら答えた

「そうなんや~ うちらは今日どうしようかな?」

今日は日曜日だ

木乃香は予定が無いので何するか考えていた


「横島先生はすぐに戻ると言っておられました」

茶々丸は横島の伝言をみんなに伝えて、結局横島の帰りを待つことにした



一方麻帆良学園付近では、ちょっとした事件が起きていた

葛葉刀子と神多羅木の二人は、麻帆良に侵入した妖怪を追っていた

「あれは、まさか九尾では…」

刀子は逃げる妖怪を見て驚きを隠せなかった


「本物か? 随分弱いようだか…」

神多羅木は疑問に思いつつも妖怪を追っていた


(なんなの! 私は何もしてないのに! 何故追われるの!?)

彼女は必死に逃げていた

まだ戦う力は無い

すぐ近くにいる同じ力の存在を求めて、必死に逃げていた


「コォーーン!!」

彼女は叫んだ!

仲間に助けを呼ぶ声をあげて


その時、横島には聞こえていた

助けを呼ぶその声が…


「今のは… 誰かが呼んでる」

横島はすぐに心眼を開き、声の主を遠視した


「見つけた!」

横島はその瞬間転移した


子狐は追いつめられていた

自分を追う人間が、自分より遥かに強いのを感じていた


(もうダメ…!)

走る体力が尽きかけていた彼女は、息も絶え絶えに逃げていた


「もう逃げる力は無いようですね。 まだ子供で可哀想な気もしますが、退治します!」

刀子は刀を抜いて構えた


「葛葉、捕まえて様子を見たらどうだ? たいした力のある妖弧じゃないしな」

神多羅木は落ち着いた様子で刀子に話しかけた


「いえ、あれが九尾なら大変なことになります! この場で退治します!」

刀子は神多羅木が止めるのも聞かずに、子狐に斬りかかった!


(殺される!)

子狐は自分の最後を悟り目を瞑った


人間の街が危険なのはわかっていた

でも、会いたかった…

夢の人に……


キィーン!!

突然辺りに金属がぶつかる音が響いた


「何のつもりです! 横島先生!!」

刀子の責めるような声が子狐には聞こえていた


子狐が恐る恐る目を開けると……

そこには夢に見た人が自分を守るように立っていた!


横島は転移した瞬間、子狐に斬りかかる刀子を見て超加速で割り込んでいた


「間に合ったな…」

横島は刀子を無視して、子狐に話しかけた


「ク~ン…」

子狐は泣きそうに横島を見つめた


「おいで…」

横島が優しく微笑むと、子狐は嬉しそうに横島に飛び込んだ

そして、泣きながら横島に抱かれていた


「横島先生! その狐はタダの妖怪ではありません! 金毛白面九尾と言う危険な妖怪です!」

刀子は険しい表情で横島に言い放った


その時横島は、左手で子狐を抱きながら、右手には神剣を持っていた

「葛葉先生、こいつは俺が預かります。 学園長にはそう言って下さい」

横島は真剣な表情で刀子に話した


「そんな勝手な… あなたにはその妖怪がどれだけ危険かわかってるのですか!?」

刀子は怒りの表情になり、横島を睨んだ


「葛葉、少し落ち着けよ。 学園長に確認をとるまで横島君に預けても問題は無いだろ」

神多羅木は刀子を落ち着かせるように話しかけるが…


「学園長は後3日は戻りません! その間に何かあればどうするのですか!」

刀子は神多羅木を睨んだ


「だが、彼の実力は今見ただろ?」

神多羅木と刀子には横島が突然現れたように見えていた

その為、横島の未知の実力を神多羅木は感じていた


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