その二
「おはよう。 まき絵ちゃん、今日は選抜テストだろ?」
眠そうなまき絵に横島は笑顔で話しかけた
「うん、そうだよー! 横島先生との特訓の成果をみんなに見せて、ビックリさせてやるんだよ!」
まき絵は選抜テストを思い出して、眠気が吹き飛んだようだ
それから横島とまき絵は二人で朝食を食べて、まき絵は元気いっぱいに出かけた
「行ってきます! 頑張ってくるね!」
「ああ、リラックスしてやればいいよ。 後で見に行くからな」
まき絵は笑顔で横島に手を振って出かけていった
そして午後…
体育館では新体操部が選抜テストをしていた
「次、5番 佐々木まき絵」
先生に呼ばれてまき絵は中央で準備をしていた
「リボンでいんだな?」
「はい」
まき絵は先生の問いかけに自然な笑顔で答えた
その笑顔はいつもの無邪気な笑顔ではなく、どこか大人びた笑顔だった
「まき絵… お前何かあったか? 一瞬誰かと思ったよ」
先生はまき絵の笑顔に少し驚いていた
「えっ… 別に何もないですよ」
まき絵の顔がほんのり赤かったのを先生は見逃さなかった
「そうか~ 好きな男の子でも出来たんじゃないのか?」
先生はニヤニヤしながらまき絵に言った
「はい! 好きな人は出来ましたよ!」
まき絵は顔がまだ赤かったが、微笑んで言い切った
「へ~ そりゃ楽しみだな~ では、5番 佐々木まき絵 演技開始!」
先生はまき絵が素直に、好きな人がいると言ったのに驚いていた
しかし、その表情を見ると楽しみでもあった
まき絵は演技開始する為に目を瞑り集中した
(横島先生… 私頑張るからね…)
まき絵は心で呟いた
『ああ、いつも通りにやればいい。 大切なのは気持ちだよ』
突然まき絵の頭の中に、横島の声が響いていた
『うん!』
まき絵は横島の声に落ち着き、心で返事をして演技を開始した
肝心の横島は、体育館の窓から静かに見ていた
先ほどは念話でまき絵に話しかけていたのだ
「あの調子なら受かるな」
横島は他の演技もしばらく見ていたので、だいたい理解していた
元々、技術は高いのだから、気持ちが入ると全く違って見えた
結果は…
言うまでもなく、文句無しに合格した
まき絵の試験を見届けた横島は、家に帰るべく街を歩いていた
ここで時が数日前に戻る…
横島達が京都でスクナと戦っている時
ある場所、深い森の中ににあるその石は静かに光を放ち始めていた
(だれ……、私を呼ぶ者は……)
そこに眠る彼女は何かを感じて目を覚ましていた
(私と同じ力を感じるわ…。 遠い地で戦ってる)
彼女は遥か遠くにある自分と同じ力を感じていた
それから彼女は夢を見るようになった
自分ではない自分の夢を…
自分が知る街より遥かに発展した街で暮らす、自分と同じ存在の夢を…
(あなたはだれ…? 私に優しく微笑むあなたは……だれ…)
彼女は自分の見る夢によく出てくる人物を知りたかった
彼女が初めて目覚めてから3日目の朝
彼女を長く封印していた石が光輝き、彼女は生まれ変わった
まだ生まれたての彼女は、手のひらに乗るほど小さかったが、その綺麗な毛並みとフサフサの九本の尻尾が風に揺れていた
「コォーーン!!」
彼女は自分と同じ力を感じる者を呼ぶように叫んだ
ピクッと彼女の耳が動いた
(近くに感じる…)
彼女は走った
自分と同じ力を持つ存在に会うために
まだ、妖力はほとんど無い
しかし、早く会いたかった
夢に現れた人物に…
彼女の名はまだ無いが、前世での名はある
その名は『玉藻前』
その昔、傾国の美女と恐れられた妖怪
金毛白面九尾の生まれ変わりであった
眠そうなまき絵に横島は笑顔で話しかけた
「うん、そうだよー! 横島先生との特訓の成果をみんなに見せて、ビックリさせてやるんだよ!」
まき絵は選抜テストを思い出して、眠気が吹き飛んだようだ
それから横島とまき絵は二人で朝食を食べて、まき絵は元気いっぱいに出かけた
「行ってきます! 頑張ってくるね!」
「ああ、リラックスしてやればいいよ。 後で見に行くからな」
まき絵は笑顔で横島に手を振って出かけていった
そして午後…
体育館では新体操部が選抜テストをしていた
「次、5番 佐々木まき絵」
先生に呼ばれてまき絵は中央で準備をしていた
「リボンでいんだな?」
「はい」
まき絵は先生の問いかけに自然な笑顔で答えた
その笑顔はいつもの無邪気な笑顔ではなく、どこか大人びた笑顔だった
「まき絵… お前何かあったか? 一瞬誰かと思ったよ」
先生はまき絵の笑顔に少し驚いていた
「えっ… 別に何もないですよ」
まき絵の顔がほんのり赤かったのを先生は見逃さなかった
「そうか~ 好きな男の子でも出来たんじゃないのか?」
先生はニヤニヤしながらまき絵に言った
「はい! 好きな人は出来ましたよ!」
まき絵は顔がまだ赤かったが、微笑んで言い切った
「へ~ そりゃ楽しみだな~ では、5番 佐々木まき絵 演技開始!」
先生はまき絵が素直に、好きな人がいると言ったのに驚いていた
しかし、その表情を見ると楽しみでもあった
まき絵は演技開始する為に目を瞑り集中した
(横島先生… 私頑張るからね…)
まき絵は心で呟いた
『ああ、いつも通りにやればいい。 大切なのは気持ちだよ』
突然まき絵の頭の中に、横島の声が響いていた
『うん!』
まき絵は横島の声に落ち着き、心で返事をして演技を開始した
肝心の横島は、体育館の窓から静かに見ていた
先ほどは念話でまき絵に話しかけていたのだ
「あの調子なら受かるな」
横島は他の演技もしばらく見ていたので、だいたい理解していた
元々、技術は高いのだから、気持ちが入ると全く違って見えた
結果は…
言うまでもなく、文句無しに合格した
まき絵の試験を見届けた横島は、家に帰るべく街を歩いていた
ここで時が数日前に戻る…
横島達が京都でスクナと戦っている時
ある場所、深い森の中ににあるその石は静かに光を放ち始めていた
(だれ……、私を呼ぶ者は……)
そこに眠る彼女は何かを感じて目を覚ましていた
(私と同じ力を感じるわ…。 遠い地で戦ってる)
彼女は遥か遠くにある自分と同じ力を感じていた
それから彼女は夢を見るようになった
自分ではない自分の夢を…
自分が知る街より遥かに発展した街で暮らす、自分と同じ存在の夢を…
(あなたはだれ…? 私に優しく微笑むあなたは……だれ…)
彼女は自分の見る夢によく出てくる人物を知りたかった
彼女が初めて目覚めてから3日目の朝
彼女を長く封印していた石が光輝き、彼女は生まれ変わった
まだ生まれたての彼女は、手のひらに乗るほど小さかったが、その綺麗な毛並みとフサフサの九本の尻尾が風に揺れていた
「コォーーン!!」
彼女は自分と同じ力を感じる者を呼ぶように叫んだ
ピクッと彼女の耳が動いた
(近くに感じる…)
彼女は走った
自分と同じ力を持つ存在に会うために
まだ、妖力はほとんど無い
しかし、早く会いたかった
夢に現れた人物に…
彼女の名はまだ無いが、前世での名はある
その名は『玉藻前』
その昔、傾国の美女と恐れられた妖怪
金毛白面九尾の生まれ変わりであった