▼狐の夢・エピローグ

そういってくれるタマモの存在が横島には嬉しかった。
しかし次の瞬間、タマモはいつの間に方針転換したのかこんな提案をしてきた。

「そうだ、だったらGSも辞めてどこかでお店でもやらない?」

「たとえば?」

横島が訊ねる。
少しは興味があるのだろうか。
もともと彼にはあのGMの血が流れているのだ。
商才も文句なしだろう。

「お揚げとか、お稲荷さんとか、あと厚揚げとか…」

………それはまたずいぶん珍しいお店になりそうだ。

「おいおい、お前の好物ばっかじゃねーか」

呆れた横島がついついボヤく。

「あら、それを作るのはこの私よ!?
九尾の狐が作るんですもの、そこに一切の妥協は無いわ。
間違いなく美味しいわよ」

タマモの目には炎が浮かんでいるようだ。
ずいぶん気合が入っている。

そんなタマモの気合が乗り移ったのか、だんだん横島もその気になってきたようだ。

タマモは横島とこれからのことを話しながらこんなことを考えていた。

彼と一緒にお店を開き、かわいい子供と笑いながら暮らせる。
それはどんなに幸せなことだろうか。
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