「おキヌちゃんには泣かれるわね。バカ犬…はどうでもいいか。
肉体的と精神的、二種類の苦痛が待ってるわけか…」

横島の顔色は、すでに蒼白というレベルを通り越している。

「大丈夫よ、あとで骨は拾ってあげるから」

おかしそうに笑うタマモに対し、

「人事だと思って…」

と、恨みがましい目で睨みながら力なく横島が呟いた。
自分に待ち受けている未来が簡単に想像できてしまい、がっくりと項垂れてしまう横島であったが

「私もそばにいてあげるから、心配しなくてもいいわよ」

そういって手を握ってくれるタマモの言葉で、横島はほんの少しだけ気持ちが楽になった気がした。

やがて完全に日が沈むまで黙って夕焼けを見ていた二人であったが、タマモが横島に問いかける。

「ねぇ、美神さんのところ辞めた後はどうするの？」

そんなタマモの問いに対して

「ん～、特にこれと言って決めてないんだが…」

と、横島が少し困った顔で返事をする。

「まぁ、急いで決めなくてもいいんじゃない！？
私たちにはこれから時間がいっぱいあるんだもの…」