▼狐の夢・エピローグ

『狐の夢』エピローグ

その日横島は見晴らしの良い場所に腰掛け、ぼんやり空を見ていた。
不意に彼の背後にふわっと風が舞い降り、声が掛かる。

「ずいぶん変わった場所で待ち合わせなのね!?」

声とともに、彼の肩越しにやさしく腕が回される。
その腕に自分の手を重ねて横島が返事を返す。

「あぁ、タマモか。まぁ座れよ」

二人は並んで腰掛ける。
場所は東京タワーの展望台の上。

今日はすばらしい天気だ。
おそらくあと少ししたらきっと見事な夕焼けが見れるだろう。
自然と横島の顔が綻ぶ。

しばらく二人は無言で徐々に傾いてゆく太陽を見つめていたが、やがて横島が口を開く。

「オレ、美神さんのところやめようと思う…」

それに対してタマモは
「そう」と短く答えただけだった
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