▼狐の夢・第3話の参

そんなタマモを玄関まで見送りながら横島がお礼を返すが

「あ、そうだ横島…」

何か言い忘れたのかタマモが振り返る。

「ん、どした?」

横島が問いかけたその時、

「………っ!?」

横島の唇に突然の不意打ち。

「んな、なななななっ!?」

美女に飛び掛ったりはするくせに、こういう事に免疫の無い横島はすっかり動揺している。

「一生懸命がんばったアンタにご褒美よ」

ふふっ、と悪戯っ子のようにウィンクしながらタマモが笑う。
そして

「傾国の美女からのキスなのよ、光栄に思いなさい!?」

照れ隠しなのか、そんなことを言う。
よく見ると顔も少し赤いようだ。

その時横島はというと、先ほどの不意打ちの後すっかり固まっていた。
が、タマモの台詞を聞いた途端に再起動を果たし、こんなことをのたまった。

「いきなりの不意打ちで光栄もクソもあるかーっ、ちっとも感触を覚えとらんやないかっ!
納得いかん、ぜひやりなおしを要求するーーーーーっ!!」
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