▼狐の夢・第3話の弐

「アイツの本当の主人を連れてくればもっと…」

「なによ、あんた丁稚の分際で私に意見しようっての?
いい度胸じゃない、それだけの覚悟はあるんでしょうね!?
いいわ、あんたこれからしばらく時給200円だから」

美神も途中で引き下がれなくなったのか、最近のイライラも手伝いそんなことを口走ってしまった。

「……っ!」

横島には己の時給よりも除霊を急いだ理由のほうがショックだった。
硬く握り締められている横島の拳には、僅かに血が滲んでいる。

それまで黙って様子を見ていたタマモには横島の気持ちが痛いほど理解できた。

「横島……」

彼の名前を呼び、後ろからそっと抱きしめる。
タマモの温もりと優しい声を聞いて、横島は心が落ち着いていくのを感じた。
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