▼狐の夢・第3話の弐

「わかりました。じゃあせめてオレがやります…」

その間、タマモは一言も喋らずに様子を見守っていた。
そんなタマモに向かって横島が一言だけ告げる。

「タマモ…」

それだけでタマモには横島が言いたい事が理解できた。

「任せて…」

そう呟くとタマモは幻術をかける。

横島たちの景色が切り替わる。


荒れ放題だった庭は綺麗に手入れがされている。
古かった家も、新築当時のようだ。
庭には子犬が一匹、日向で昼寝でもしているようだ。

「小次郎――――っ!」
子犬を呼ぶ声が聞こえる。

「ゴ……主…人……!?」
子犬が顔を上げると、そこには待ちわびた少年が立っていた。

「ほらパパ、ママ。見てよ、やっぱり小次郎はちゃんと待っててくれたんだよっ!」

「あぁほんとだ。えらいぞ小次郎」

「いい子ね、小次郎」

少年の両親もそう言ってやさしく声をかけてくれる。
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