▼狐の夢・第3話の弐

何かに気が付いたのか、横島は二人と合流するとタマモの耳元でささやいた。

「タマモ、たぶんアイツは犬の化け物だ。
言葉、分からんか?」

「やってみる」

横島に問われたタマモはそう言うと、感覚を研ぎ澄まし始める。

「GuAaaaaaHAUuuuuu!!」

魔物は玄関付近に立ち塞がり、家屋への侵入を許さない。


横島が魔物の様子をジッと窺っていると、タマモが耳打ちをしてきた

「何か言ってるみたいだけど、ゴメンよくわかんないっ!」

そのとき、美神の神通棍が鞭状に変化し魔物を打ち据える。

「AGUuuHarrGAzAaa!!」

さすがの魔物も傷を負ったようで更なる咆哮をあげるが、未だ健在であった。

「ちっ、浅かった!?」

美神が悔しそうに舌打ちする。

横島はこっそり『伝』の文珠を魔物に投げつける。
手に持つのは『達』の文字の入った文珠。
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