▼狐の夢・第3話の弐

最近シロは己の先生の変化に気付き始めた。
なにやら彼は夕日を見ながら考え事をしていることが増えたのだ。
先日シロは堪らず横島に聞いてみた。

「先生、何を考えているのでござるか?」

それに対し彼女の先生は

「ん~、ちょっとな…」

という、ハッキリしない答えを返すのみであった。

「そうでござるか?最近良く考え事をしているようでござるが…」

さらにそう聞いてみると、彼は笑いながら

「すまんすまん、弟子に心配かけちまったか?
ありがとなシロ、でもホントに大したことじゃないから心配すんな」

そう言ってシロの頭をガシガシ撫でる。

その笑顔と撫でられた頭の感触が嬉しくて、シロはそれ以上深く聞くのをやめた。
「あの時もっと詳しく聞いていれば…」と後悔することになるとは、このときはまだ気付くはずもなかった……
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