▼狐の夢・閑話休題

最近なんだかおキヌの様子がおかしい。

ときどきため息をついてはボーッとしていることがある。

夕日を見つめる横島と、優しげな表情で寄り添うタマモ…
おキヌは先日見た光景が頭から離れずにいた。

そして今もリビングのドア越しに見える横島は夕日を眺めている。
以前夕日を見ていたときとはまるで別人のような、柔らかい表情をしていた。
そしてその横島の隣にはやはりタマモが佇んでいる。

「どうして!?」「いつのまに!?」
そんな想いが頭の中に渦巻いている。

やがておキヌの周りの空気が陽炎のように揺らめきだした。

(い、いけません、おキヌさんっ!)

人工幽霊一号は咄嗟におキヌを止めようとしたが、なぜか声が出せなかった。

「ふふふふっ、そうですか… また出し抜かれちゃいますか…
私が一番初めに横島さんを好きになったんですよ!?
横島さんは鈍感さんですね… そんな人には… くすくすっ」

(……ほどほどにしてあげて下さい、おキヌさん…)

人工幽霊一号は心の中でそう呟くのであった。
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