▼狐の夢・第2話の壱

「ダメよっ、今回のヤツは一人じゃ絶対勝てないわ!下手したら死ぬわよっ!!」

タマモは走りながらそう叫ぶが横島は聞こうともしない。

「二人でいても埒があかん。このままじゃいずれ二人ともやられちまう。オレがなんとかヤツを足止め出来れば、お前だけでも助かる確率が上がるじゃねーか」

タマモを安心させる為か、笑顔を向ける横島であったが

「バカ横島っ!アンタが死んじゃったりしたら、美神さんもおキヌちゃんもあのバカ犬も、みんなが悲しむのよ?アンタと同じ思いを、みんなにさせる気っ!?」
「それにアンタが死んだら、アンタの中にいるルシオラさんだって死んじゃうじゃないっ!!」

「……っ!」

タマモの剣幕に、横島はそれ以上何も言えなくなってしまう。

「それに一緒にいた方が、二人で生き残れる可能性がちょっとは上がるでしょ?」

と目じりに涙を浮かべ、先ほどとは違い穏やかな笑顔を向けるタマモに横島は一瞬見惚れてしまう。

「タマモ…」「横島…」
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