▼狐の夢・第一話参

その瞬間に文珠がもう1つ追加生成されたところで彼は盛大に鼻血を撒き散らし、意識を手放したそうだ。

起き上がった彼はなんだかスッキリした顔をしている。
何かが吹っ切れたのか、その顔を見てタマモも安堵のため息を漏らした。

(とりあえず大丈夫みたいね…)

タマモがそんなことを考えていると

「…はぁ、しゃーねぇなぁ。あんまり他の人には言うなよ?」

そう言いながら、彼はポツリポツリと喋り出した。

半年前に起こった魔神大戦のこと。
蛍の化生である彼女との出会い。
初めは敵同士だったこと。
ある出来事がきっかけで惹かれあっていったこと。
ひと時の平和と最終決戦。
やがて訪れた別れと彼女の最後の言葉。
それからの半年間のこと…

途中、タマモは静かに彼の話を聴いていた。
やがて横島が大まかにではあるが一通り話し終えたとき、タマモが口を開いた。

「アンタ、バッカじゃないの?」
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