ここでシャークティーは横島に今現在の刀子の肌ツヤを意識させる作戦に出るが、この男には無意味であった。

「そうですねぇ、刀子さんがお忙しいのは俺も知っているのであまり無理は言えませんが、やはり食事は体を維持するのに必要ですからしっかりとっていただいたほうが……」

「あら、横島さんも刀子のことを名前で呼んでいるのね」

「えぇ、何度かお店に来ていただいているうちに許可を頂きましたので。　俺のことも呼びやすいように呼んでもらってますよ」

そんなやり取りが聞こえていたが、はっきりいって今の刀子にはまるで頭に入っていなかった。
ところが再度刀子がお冷に手を伸ばし、一口含んだところで目の前の同僚からとんでもない台詞が飛び出した。

「そうだ、ねぇ横島さん、刀子ったら最近働き詰めだったから今日からしばらく残業が無くなったの。　
そこでお願いなのだけど、時間が無くても簡単に作れておいしい料理を彼女に教えていただけないかしら？」