▼竜神様はお年頃

彼の隣には小竜姫しか居ない。
どうやらここ妙神山では優先してもらえるるらしい。

「そういえば忠夫さん、さっきは私を助けに来てくれたのですよね?」

小竜姫が上目使いで横島に尋ねる。
抜群の破壊力があるようだ。

「え、えぇ、そうです。ただの訓練でしたし、最後はグダグダになっちゃいましたけど……」

小竜姫に見つめられている横島は、真っ赤になり指で頬をかきながら答えを返す。

「ありがとうございます……」

頭を下げ、お礼を言う小竜姫。

「と、当然のことをしただけっすから、頭をあげてください!」

それにはさすがの横島もびっくりだ。
慌てて頭を上げさせる。

「あの時本当はとても嬉しかったんです。なのにお礼を言う暇がなくて……」

「小竜姫さま…」

「さっきみたいに『シャオ』と……」

「シャオ……」

そう呼ばれた小竜姫はとても嬉しそうに微笑みながら、横島の首の後ろに両手を回した。
暫く見つめ合っていた二人だが、やがてどちらからともなく顔を近付けていく。
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