▼竜神様はお年頃

しかし何気に普段の扱われ方がアレなヒャクメは、ここぞとばかりに追撃の手を緩めずさらに攻勢に出る。
そのため小竜姫のその僅かな変化に気付いていなかった。
この辺りで止めておけばこの後の展開も違っていただろうが、そこはやっぱりヒャクメである。
まぁ、自業自得だ。
強く生きろよ、ヒャクメ。

「さっきもその人の事を考えていたのね~。たしか明日また来るのね?
『たしかに東京タワーから見る夕焼けは特別っす。でもこの妙神山で小竜姫さま
と見る夕焼けも、間違いなく俺の宝物っす』って、なるほどなのね~。
そんなことを言われたら、いくら小竜姫といえども意識しちゃうのね~」

その台詞を言った直後、ヒャクメは「ピキッ!」という音と共に周りの気温が一気
に氷点下付近まで下がったような感覚を覚えた。

いや~な予感が……
ヒャクメは恐る恐る小竜姫を伺ってみる。

「ヒィッ!」

そこには小竜姫という名の夜叉が居た。
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