新しき絆

それから、魔鈴は横島の部屋をテキパキと掃除していった

元々狭い部屋に物も少ない為、2~3時間で終わっていた


前のように異常なほど邪気を払うことも無く、一般的な掃除だったが、横島の部屋は見違えるように綺麗になっていた


「いや~ 俺の部屋がこんなに綺麗になるのはいつぶりだろう…」

横島は驚いた様子で部屋を眺めていた


「たまには掃除しないと健康にも悪いんですよ?」

魔鈴は綺麗になった部屋を見て、満足そうにしていた


「すいません。 掃除しようとは思うんですけどね~」

横島は困ったように苦笑いしていた


「うふふ… まあいいですよ。 私がまた掃除に来ますから♪」

魔鈴はかなり機嫌が良かった


横島はわざわざ人に掃除させるのは悪いな~

と思いつつ、魔鈴の笑顔に断ることは出来なかった


「横島さん、これから暇ですか?」

掃除を終えて一休みしていた魔鈴が横島に聞いた


「はい、大丈夫っすよ。 魔鈴さんの家も大掃除しますか?」

時間はまだ昼前、頑張れば今日で魔鈴の店と家も掃除出来そうだった


「ありがとうございます。 でもその前に買い物に行きたいんですよ」

「いいですよ。 じゃあ行きましょうか?」


横島は魔鈴と、お昼ご飯の前に、買い物に行くことにした


魔鈴は自分の魔法のほうきで飛び、横島も先日魔鈴から貰った魔鈴のほうきで飛んでいた


横島の魔法のほうきは、普段は魔鈴の家に置いてある

それを召還魔法の一種で呼び出しているのだ

簡単な初歩の魔法の為、横島でもすぐに覚えていた


「横島さん、魔法のほうきに慣れましたか?」

魔鈴は自分の作った、魔法のほうきに乗る横島を見て幸せを感じていた


「はい、すごく乗りやすいですよ! 魔法のほうきってこんなに乗りやすかったんですね~」

横島は昔事故で乗った、炎の狐を思い出していた

あの魔法のほうきは意志があったが、言葉が通じなくて散々な目にあった

あれと比べていいかわからないので、口にしなかったが…


魔鈴の作った魔法のほうきは、かなり乗りやすかった


横島と魔鈴が二人で並んで魔法のほうきに乗る姿は、結構目立っていた

だが、横島と魔鈴はそこまで気がついてなかった…


二人は近くの某激安の殿堂ド〇キ・ホ〇テに着いていた


「魔鈴さん、なに買うんすか?」

横島は店内をうろうろしながら、魔鈴に聞いた


「掃除の洗剤があまり無いので欲しいんですよ。 後はお正月の飾り付けも買わないとダメですね…」

魔鈴は思い出しながら一つ一つ買い物をしていった


店内は年末年始の買い物をする人が多く、かなり混んでいた


「すごい人っすね~ 魔鈴さん気をつけて下さいね」

横島は買い物カゴを持ちながら、魔鈴とはぐれないように気を配っていた

「はい…、ありがとうございます」


横島は普通にしているだけだが、魔鈴には横島の気配りが嬉しかった

横島に見とれていた魔鈴は、いつの間にか横島の手を握っていた…


横島も人混みに気を取られていて、気がついたら魔鈴の手を握っていた

気がついた時、どうしようか悩んだが、魔鈴がしっかり握っていた手は離れなかった


二人がそのまま買い物をしていた時…



「横島さん!?」

横島は突然誰かに呼ばれていた


横島と魔鈴は驚いて周りを見回した

そこには…、買い物カゴを持ったピートが居た


「ピート!? お前なんで…」

横島と魔鈴は困ったようにお互い見合った


「僕は先生に買い物を頼まれまして…」

ピートは驚いて横島と魔鈴を見ていた

二人は手を繋いで買い物をしており、どうみても恋人にしか見えなかった


「ピート、ちょっと時間あるか…?」

横島は困ったようにピートに話しかけた

「はい大丈夫ですよ」


横島は買い物を終えた後、ピートを喫茶店に連れて行った


ピートに口止めしなければならないのだから…


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