新しき絆

横島は一つだけ決めていた…

それはどんな手段を使ってもルシオラを復活させる事


生きることも死ぬことも出来ないルシオラを必ず復活させる事…


子供としての転生なのか、それ以外の方法なのか…

それ以上はまだわからなかったが…


それだけは決めていた


最も……

ルシオラの子供への転生は相手が必要な為、横島はほとんど諦めていたが…

生まれたルシオラが、魔族なのか人間なのかもわからない


記憶が戻るのか

戻らないのかもわからない


そんな子供を誰かに産んでくれる女は居ないと思っていた


ただ…

希望もあった…


それは魔鈴の魔法


世界に一人しか使えない古の技…


それなら反魂の術のようなものがあるかもしれない


横島は魔鈴に魔法の基礎を学ぼうと考えていた



横島がここまで前向きに考えれるのは、魔鈴の存在が大きかった…


雪之丞は横島の様子を見て内心安堵していた…

一番危険な時期は過ぎただろうと


「そうか… お前がそう考えてるならいいさ」

雪之丞は言葉少なく酒を飲んだ


「それと、高校卒業したら、美神さんの事務所辞めるよ。 魔鈴さんの店で働くから…」

横島は思い出したように雪之丞に話した


「当然だろうな… あんな女の下で働くなんて普通じゃないだろ?」

雪之丞は横島を見てニヤリとした


「悪かったな… どうせ前の俺は普通じゃないよ」

横島は少し拗ねたように話した


「お前もようやく大人になったな」

雪之丞はからかうように言った


「どうせ俺は子供だよ。 美人の彼女も居ないしな~」

横島はひがむように雪之丞を見た


「お前の場合はその鈍感を治せよ! その気になれば相手なんて居ただろ?」

雪之丞は少し呆れたように話した


雪之丞が知るだけでもおキヌや魔鈴など…

横島に好意をもつ相手は数人居るのだから…


「俺はルシオラ以外モテた事ないぞ?」

横島は本当に不思議そうに考えていた


「ダメだなこりゃ…」

雪之丞は呆れたように酒を飲んだ


その日二人は夜遅くまで飲み明かした
 
 
 
数日が過ぎて23日、クリスマスイブの前の日


横島は考え込むように街を歩いていた…


街にはクリスマスのイルミネーションが光り、サンタクロースの姿をした人がケーキを売っていたり、店の宣伝のビラを配っていたりしていた


そして多くの人々には笑顔が見えて、幸せそうなカップルがたくさん歩いていた


昔の横島なら、世間や世の中を呪って騒いだだろう…


だが今の横島は違っていた

ルシオラにこの景色を見せたかった…


そして、一緒にクリスマスを…


願っても叶わない夢を少し想像していた


横島は考えがそれたことに気がつき苦笑いして、再び歩き出した


今日横島がわざわざ街中を歩いてるのは、普段世話になってる魔鈴やシロやタマモ…

そして、妙神山に居るパピリオにクリスマスプレゼントをあげよう思って、プレゼントを探しに来たのだ


だが普段女の子にプレゼントなどしない横島には何がいいか…

全くわからなかったのだ


「何にすっかな~ シロは肉にタマモは油揚げにパピリオは蜂蜜… じゃ当たり前すぎるかな~」

横島は一人呟き困ったように色んな店を見ていた


普通はクリスマスプレゼントには、服やアクセサリーとかなんだが…


純粋な人間の魔鈴はともかく、シロやタマモやパピリオに服やアクセサリーは少し違和感がある…


横島はすでに3時間は街をさまよっていた……


ふと横島の足が止まる…

目の前にはゲームショップがあった


「パピリオにはゲームにするか…」

横島は店内に入ってゲームを選び始めた

妙神山にはゲーム好きの老師が居るため、ゲームがあるはず……


横島はゲームステーションのソフトを何本か選んで、包んでもらった


そして、残りのプレゼントを探す為にまた街を歩き始めた


49/100ページ
スキ