新しき絆

タマモはお茶を一口飲んで落ち着いたところで、話し出した

「シロ… 横島はもうすぐ高校を卒業すれば、事務所を辞めるわ。 あなたはどうする?」

タマモは真剣な表情でまずシロの意見を聞いた


「タマモ、本当でござるか!?」

シロは慌てて立ち上がって、驚いてタマモに聞いた


「本当よ… わざわざ魔鈴さんの家に来て、あんたに嘘つく訳ないでしょ!」

タマモは強い口調でシロに言った


「それもそうでござるな…」

シロはタマモの話に腕を組んで考えだした

「拙者は先生の弟子でござる。 先生についていくでござる!」

シロはすぐにそう話した


「どうやって? あんたは人狼の長老から美神に預けられてるのよ?」

タマモは何も考えてないシロに冷静に問いかける


「拙者、長老にお願いに行くでござる!」

シロは立ち上がって、今すぐ人狼の里に行こうとした…


「待ちなさい! あんた何も知らないでしょ! ただ横島に付いて行きたいからって理由で長老が納得するの? 少し私達の話を聞きなさい!」


タマモはまさかシロがすぐに、人狼の里に行こうとするとは思わなかった…

走り出しそうなシロを慌てて止めた


「う~ん… 拙者はどうすればいいでござるか?」

シロは困ったようにタマモを見た

タマモはそんなシロを見てため息をついた

魔鈴は二人のやりとりを苦笑いして見ていたが、ここで説明しだした

「横島さんは卒業したら、私の店に来てくれます。 良かったら、タマモちゃんとシロちゃんも一緒に来て欲しいんですよ」

魔鈴は笑顔でシロに説明した


シロは驚いて魔鈴の話を聞いていた


「タマモはどうするでござるか?」

シロは少し考えてタマモに聞いた


「私はもちろんここに来るわよ。 横島はね… 私とあんたを心配してるのよ。 私達をあの事務所を置いて行けば危険だから…」

タマモは真剣な表情でシロを見つめていた


「先生……」

シロは言葉がでなかった


「あいつはバカやってるふりして、私達の将来まで考えてるのよ。 だから私はここに来るの… あいつが困ったら助けれるように… 仲間なんだから…」
タマモは普段シロには言わないような本心を語っていた


「タマモも先生も、そこまで考えていたでござるか… 拙者もここでお世話になりたいでござる!」

シロは決意した眼差しでタマモと魔鈴を見た


タマモと魔鈴は顔を見合わて微笑んだ…

シロの決断は予想が出来ていた

だが、それでもシロの決断は嬉しかった

これで横島の不安が一つ減るのだから…


「じゃあ、明後日に人狼の里に行きましょう。 私も行きます。 一応大人が居ないとダメでしょうから…」

魔鈴は少し考えてシロとタマモに話した

「そうね… その方が確実ね。 シロ、美神には言っちゃダメよ!!」

タマモも魔鈴の考えに賛成して、シロが令子に言わないように釘をさす


「わかったてござる。 お世話になるでござる」

シロは魔鈴に深く頭を下げた


「はい、一緒に頑張って行きましょうね」

魔鈴はシロに笑顔で答えた



そして魔鈴とタマモとシロは、人狼の里を目指して歩いていた…


突然シロが止まった

「着いたでござる」

シロがそう言って通行手形をかざすと…


結界が開き…

人狼の里に道が開いた


「凄いですね… 村まるごと結界に包むとは…」

魔鈴は感心しながら歩いていた


「おう! シロではないか!? 突然帰るとはどうしたのだ?」

付近を警戒していた人狼の侍らしき人物が、驚いてシロに話しかけた


「長老に話があって来たでござる!」


そう言って、シロは魔鈴とタマモを長老の家に連れて行った


長老の家に入り、魔鈴とタマモは長老と数人の人狼と対面していた…


人狼達は魔鈴はともかく、タマモを不思議そうに見ていた


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