新しき絆

しばらくそんな時間が流れた…

そして魔鈴が料理を運んで来た


「お待たせしました~」

魔鈴は笑顔で横島達に料理を配る


魔鈴はタマモや横島の様子がおかしいのに気がついたが…

百合子の居るこの場所では聞けなかった

横島達はいつものように料理を食べて、魔鈴は笑顔で見ていた

まだ夕食の時間には少し早く客が少なかったのだ


そんな中、百合子がゆっくり食べ始めた…

「あら… 本当に美味しいわね… さすがに魔法料理と言うだけはあるわね~」

百合子は驚いて笑顔で魔鈴に話した

「ありがとうございます」

魔鈴は笑顔で返事をする

百合子に好印象を与えれることが出来て、内心ホッとした魔鈴だった…


一方横島は食事しながら、真剣な表情で先ほどのことを考えていた

百合子が来た目的もまだわかってない

タマモに関しては横島にとって好都合だったが…

本当の目的がわからないうちは安心出来なかった


そうして食事が終わると雪之丞は帰った

本当は修行に来たのだが…

百合子が居るため、今日は帰ったのだ


タマモはしばらく魔鈴の店に残ると話した為…

横島は百合子と二人帰っていった…


横島達が帰った後

魔鈴とタマモは厨房で話していた

さすがに夕食時な為、料理しながら話していた


タマモは簡単な仕事を手伝いながら、先ほどの百合子の話を魔鈴に教えていた

「そうだったんですか… 凄い人ですね~ さすがは横島さんのお母さんですね…」

魔鈴はある意味納得していた

横島の凄さをよく理解していた魔鈴は、普通の親よりも納得がいったのだ

「本当に凄い人だわ… 横島も非常識に強いけど、あの非常識な才能は母親似ね…」

タマモは感慨深げに話した

今でも信じられない感じだった…


前世も合わせれば数千年も求め続けた居場所を、人間の親子がくれたのだから…

「でも、これでタマモちゃん達が美神さんの事務所辞める、一番の障害は減りましたね」

魔鈴は嬉しそうに話した

「ええ… 後は横島の卒業を待つだけね」

タマモは幸せそうに微笑んだ


横島、魔鈴、シロ…

みんなで働くのを楽しみにしていたのだ…


そして、帰った横島と百合子は…


「忠夫… 行きたい場所あるんだけど…」

百合子は少しつらそうな顔で横島に話しかけた

「お袋どこに行きたいんだ?」

横島は不思議そうに聞いた

「ルシオラさんの墓に行きたいんだけど…」

百合子は静かに話した

百合子はここに来るまで、ずっと悩んでいた

忠夫にルシオラの話をしていいのか…

だが、親として逃げる訳に行かなかった

息子と…

その嫁になったかもしれない彼女の為に…


横島は百合子からルシオラの名前を聞くとは思わずに、驚いていた


「わかった…」

真剣な百合子を見て、横島は静かに歩き出した


途中で百合子は菊の花と水を買った

二人は無言で歩いていた


横島と百合子がその場所にたどり着いた時には、辺りはすっかり夜のネオンが輝いていた


「ここは… 東京タワー」

百合子は驚いてネオンが光東京タワーを見上げた


「掴まってくれ…」

横島は百合子の手を握り

文珠を使った【浮】

横島と百合子の体はゆっくり上がっていった…


「忠夫… これはあんたの力なのかい?」

さすがの百合子も驚きが隠せなかった


霊能力は詳しくないが…

それでも、普通のGSが空を飛ぶなど聞いたことが無かった

文珠は報告書で知っていたが、実際に体感するとまた驚きが別だった


横島は無言で上に登っていく…

そして、特別展望台の上に二人は降り立った…


「ここがルシオラの墓かな… あいつはここで消えていった… 魔族だったあいつは何も残さず消えたんだ…」

横島は無表情で静かに話した


しかし…

その無表情な息子を見て、百合子は涙が出るのをこらえていた…


百合子は横島が見つめる場所に菊の花を置いて、水をその場所にかけた


そして、両手を合わせて静かに祈っていた

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